sympathy 2 (ページ17)

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七緒side

遠ざかっていく新幹線を見届けると、携帯の電源を落とした。

生まれて初めての告白。

フラれるってわかっていても、やっぱり言いたかった。

でも、まだ聞くのは怖い。

それに、聞くなら電話じゃなくて直接聞きたかった。

携帯を握りしめて立ちすくんでいると、美都さんに声をかけられた。

美「A、ちゃん？もし良かったら…お茶でもしない？あ、でも一緒に行かなかったってことは用事ある？」

七「いえっ、大丈夫です」

美「良かった」

美味しいケーキのお店があるんだ、という美都さんについて、駅を出た。

お洒落なカフェに入ると、本日のおすすめセットを注文して、上着を脱いだ。

美「半年前くらいかな？あの男の子とrossoに来てくれたよね？」

七「はい。ばる…あ、すばる君のことなんですけど、歌ってる所を見たくて。美都さんのピアノも素敵でした」

美都さんは「ありがとう」と言うと、「敬語やめてよ～」と笑った。

美「あの時の歌が1番良かった。自分の思いとかを、あんなに歌に乗せれる人に初めて会ったから」

だから、あなたと話してみたかったの。

紅茶をかき混ぜながら、美都さんは言った。

七「ばるのどこが好きなんですか？」

美「声よ。他は…何だろう？唄に関することは全部好き。尊敬してる」

七「すごいですよね」

美「うん。Aちゃんは？彼のどこが好きなの？」

七「どこ……かな。わからないんです」

優しい所？

大口を開けて笑う所？

かっこいい所？

どこも素敵やけど、ピンとこない。

美「Aちゃん」

思わず考え込んでしまっていた顔を上げる。

美「聞いた話だけど、理由がわからない好きが、本当の好きなんだって」

七「……え…」

美「あそこが好き、ここが好きって言えちゃう好きは、まだそんなに深い好きじゃないらしいよ」

七「そうなんですか…？」

美「一説だけどね。わかる気がする」

少し悲しそうな笑顔で、美都さんは続けた。

美「ピアノを続けていくには、すばるに傍にいて欲しいって思ってる。あんなに刺激を受ける人はいないから。でも、もし結婚して家庭に入るって考えると、選ぶパートナーは他の人なのかもしれない」

細い指が、カップをそっとなぞった。

美「打算的よね。私の好きは、きっとあなたの好きの足元にも及ばないわ」

美都さんの言葉が、胸に刺さった。