ヒロイン ((赤)) (ページ1)

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Snow.1 ページ1

「はあ...、もうどうしよ。

　私友達できないかも」

入学して2日。

まだ誰とも話せていない。

成瀬A、現在とても焦っております。

「ええやん、別に。

　なんとかなるて」

私の気持ちとは裏腹に、

耳にイヤホンを突っ込んだまま答えるのは、渋谷すばる。

中学からの男友達。

うちの高校での同じ中学の出身者は

うちら2人だけ。

「よりによって、なんで周りの席みんな男なの?!

　私に対する嫌がらせ?!

　ねえ、分かる？この気持ち」

渋「分からんわ、笑」

小さく肩を揺らして笑うすばる。

へええ、そうっすか。

君にとっては余裕のよっちゃんなんだね。

「ていうかすばるも人見知りじゃん。」

渋「せやけど、別にそんな急いで友達作ろうとせんくてもええんちゃう？

　 AはAらしく、

　ぼけーっとしといたらええねん」

果てしなく頼りないアドバイスをありがとう。

私もそれくらい割り切れたらいいんだけど。

「なんやねん、ため息なんかついて」

え、私今ため息ついてた？？

やっば、無意識だ。

幸せ逃げちゃう。

と、まあ、私の心は不安でいっぱいなのです。

でも、

「もし友達できんかったら、

　俺んとこ来ればええやん。」

すばるがそう言ってくれたから、

少しだけ頑張れそうになった。