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「へ〜予想通りじゃん」
「……。どういう意味ですか」
「ん? そのままの意味」
「……」
「オマエが昔から変わってるかどうか、僕は賭けた。でも昔のままだったってだけ。僕が考えなしにあんなこと言わせるよう仕向けたと思う?」

 五条さんの宝石みたいな目が、綺麗だと思う反面苦手だ。この目に見つめられると否が応でも吸い込まれるような、何もかも見透かされているような気がする。

「傑との子どもがいる中で七海との子がほしいって、オマエが七海に言葉で一番示せる愛だと思ったんだよ。あの言葉はこの状況だから意味を持った」
「あ……」
「それなのに深く考えもせず言ったんだろ? オマエって昔から七海をぞんざいに扱うよね」

 アイツは見てて心配になるくらいオマエのこと愛してるのにさ。そう続けられた言葉に俯いた。私だけが七海の想いに気づかなかった。自分が恥ずかしかった。消えてしまいたい。私は七海の何を見ていて、何を知った気になっていたのだろう。

「アイツは必死なんだよ」
「……」
「七海はオマエとの関係はオマエに気づかれるまでって思い込んでるから」
「どういうことですか」
「だってオマエらの結婚、別に上の指示でもなんでもないし」
「……はっ?」
「七海が勝手に囲っただけだよ。オマエを守りたかったんだろ。まあ僕にはわかりかねるけど」

 カランと氷が小気味よい音を立てて溶ける。困惑して思考が停止し、五条さんの目を無遠慮にまじまじと見入った。頭の中ではこれまで七海と過ごした記憶がテープみたいにぐるぐる流れる。
 同意もなく結婚したのは、守りたかったから? 一体何から……同業者や上からだろう。実際、七海が仲介してくれるまで補助監督による嫌がらせがあったし、今でも危害こそないが他の術師からは白い目を向けられることは多い。それなら指輪を一ヶ月間は何があっても絶対つけさせたのも、名字を統一したがったのも、そういうことなの? 七海はずっと、私を守りたかった?

「……他にもまだあるんですか。私が知らないこと」
「知りたい?」

 五条さんは首をコテンと傾げて妖しく微笑む。その悪魔のような笑みに充てられたかのように、頭の奥が一瞬ぐわんと大きく揺れる。すると自分の意識を第三者から見ているような、夢の中にいるような不思議な気分になったが、これは酔いなんかじゃない。罪悪感だ。夢か現実か曖昧な境にいる中で、泡の溶けたビールを一口含んで頷いた。

「オマエ、死ぬかもね。罪悪感で」

 悪魔の尻尾を隠し持つ彼は、あわれな私を見てキューピットみたいに嗤った。

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相沢(プロフ) - Yukiさん» コメントありがとうございます‼️エーーーーーンヤッターーーめっっっっっちゃうれぴーです!!!!ワッ受験生仲間〜!!毎日死にそうになりますが頑張って生き延びましょ〜!!!❤️‍🔥レッツ限界! (5月26日 23時) (レス) id: 95aead40e8 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - めっっっっちゃ楽しみにしてます…自分も受験生です死にそうです一緒に頑張りましょ🥺 (5月25日 21時) (レス) @page6 id: 4a658d8cff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:相沢 | 作成日時:2023年5月14日 19時

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