T.M-17 ページ17
「ご、後藤さんッ!?」
ホストクラブの名刺を見られた！という焦りで、私は慌てて奪い返そうとする。
でも、それより早く、後藤さんはあっさり名刺を返してくれた。
こんなの、私みたいな目立たない女が持つようなものじゃない。
それがわかっているからこそ、彼女への言い訳を思いつかなかった。
少しの沈黙の後、後藤さんが「ねぇ」と口を開く。
「な、何……？」
恐る恐る返事をすると、彼女が困ったように笑った。
「もー、同期でしょ？麻知でいいって言ってるのに」
「えっ……あ、うん……」
「でも、Aは私みたいなの、苦手そうだもんね」
「いや、そ、そんな事……」
「見てればわかる。でも、そうさせてるのは私だし、自業自得かな」
「………」
彼女がプロジェクトチーフになってから、もうどれくらい話していなかっただろう。
入社仕立ての頃は、笑顔で話せていたのに。
いつの頃からか、彼女を避けてしまうようになっていた。
「……ごめん」
全ては、私の嫉妬から。
わかってる……後藤さんは何も悪くないって事。
ホントはどうにかしたかった。
自分の中にある嫌な感情も、彼女との関係も……。
私の謝罪に、後藤さんは「謝らないで。私も残業から逃げてたしさ」と笑う。
そして、私の手元にある名刺に目を落とした。
「ところで、A……ホストクラブに通ってんの？」
「えっ!?」
突然の質問に、うまく言葉が返せず、ただひたすら首を横に振る。
すると彼女は不思議そうに首を傾げた。
「じゃ、なんで貴の名刺を？」
「えっ……た、たかっ……？」
「ん？カルテットの貴でしょ？それ」
事もなげに言う後藤さんに、私はようやく、彼女が増田さんと知り合いなのだと気づく。
「あ、あ、そう！だけど……後藤さん、なんで彼を……」
「そこの常連だから」
「えっ……ええええぇぇぇぇーーーーーッッ!?」
あまりの驚きに大声をあげる私の口を、後藤さんが慌てて塞いだ。
「ちょっ……声、大きいって！」
「ご、ごめっ……だって……」
「さすがに会社で話して回る勇気はないから、それ」
「あ、うん。ご、ごめん、ホント」
落ち着く為に深呼吸して、再度、彼女に向き直る。
「後藤さん……ホストクラブ、行ってたんだ」
「何？また幻滅した？」
「ううん、そうじゃなくて……勇気あるなって」
「何言ってんの。自分だって名刺もらってるくせに」
「えっ!?いや、これは……」
ホストクラブへのお誘いじゃなく、ただの連絡手段だし……。
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こもも(プロフ) - 7さん» ありがとうございます☆続編の方、今週中には更新出来ると思います！ (2018年7月25日 15時) (
レス) id: 997c86eca6 (このIDを非表示/違反報告)
7(プロフ) - 続きが見たすぎます。お願いします。 (2018年7月19日 9時) (レス) id: e2794de4c5 (このIDを非表示/違反報告)
こもも(プロフ) - めめさん» はじめまして！続きがあるのかなー？と待ってしまってました(笑)お褒めの言葉ありがとうございます。初めてのドリ小執筆でしたのでコメント励みになりました！頑張ります。 (2018年6月2日 21時) (レス) id: 53d2deb50e (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - はじめまして。先日は文字が切れて失礼しました。キャラ設定と丁寧な描写に惹き込まれております。更新心待ちにしております。 (2018年6月2日 1時) (レス) id: e60eb20bd1 (このIDを非表示/違反報告)
こもも(プロフ) - まあみさん» はじめまして！ありがとうございます。楽しんでもらえるように頑張りますね。 (2018年6月1日 20時) (レス) id: 53d2deb50e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こもも | 作成日時：2018年5月15日 15時
