T.M-62 ページ12
私の反応を窺うように話す貴くんは、なんだかちょっと可愛くて。
照れくさそうな仕草が、とても愛おしく感じた。
「じゃ……お邪魔させてもらおうかな」
そう答えた瞬間、貴くんが驚いたようにパッと私を見る。
そして安堵が伝わる笑顔を見せてくれた。
「タクシー拾うから、行こう」
「うん」
素直に頷き、貴くんと一緒に彼の家へ向かう。
タクシーに乗り込み、到着するまでの道中、正直心臓がドキドキしまくってたけれど。
それと同時に、自宅に誘ってもらえた事が嬉しかった。
貴くんのプライベートなテリトリーに、私を入れてもらえるんだって。
しばらくするとマンションのエントランス前で、タクシーが停車する。
想像していたより、普通のマンションでホッとしていた。
ホストの住居って、派手なイメージがあったから。
そんな私の気持ちが伝わったのか、貴くんがクスッと笑う。
「超高級タワーマンションじゃなくてすいませんねー」
「えっ!?いや、そういう意味じゃなくて！」
「わかってるよ。意外と質素なの知ってもらえて、逆によかった」
「……正直、ちょっとホッとしちゃった」
「ははっ。店での俺は着飾ってるから、イメージも必要なんだけど。Aちゃんの隣で過ごす俺は、増田貴久まんまだから……受け入れてもらえて嬉しい」
さらっと『君は特別』感のある台詞を挟むのはやめてほしい。
さっきから鳴り止まない鼓動が、更に大きく、速くなってしまうから。
初めての貴くんの家。
玄関を入った瞬間、なんだか温かみのある香りがして、私はくんくんと鼻を鳴らした。
「ん？どうした？」
「なんかいい匂いがして……リラックス出来るような」
「え？なんだろう？」
「わかんない。でも、落ち着く」
「そ？緊張されるよりはいいかな」
ふっと微笑んだ貴くんが、私を手招く。
一言「お邪魔します」と告げてから、私は彼の家に足を踏み入れた。
通されたリビングはとても清潔感があり、貴くんが綺麗好きだと一目でわかる。
シックなカラーがベースでありながら、ちょこちょこオシャレな柄物が目を引く部屋。
彼が細部にまでこだわりを持っているのが、私でもわかった。
「カッコイイお部屋だね」
「ありがとう。自分を褒められるより嬉しいかも」
「そうなの？」
「いや、勿論、俺も褒めてほしいけど」
悪戯っぽく笑った貴くんが、お茶の入ったグラスを手渡してくれる。
わざと「貴くんもオシャレでカッコイイ」と褒めると、彼は私から目を逸らし「どうもー」と答えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 410人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうき - 大好きですうう続きを心待ちにしてます(；ω；) (2020年4月4日 20時) (
レス) id: bd07b8c8f0 (このIDを非表示/違反報告)
arupakachan128(プロフ) - 戻ってきてくれたんですね！待ってました！！ありがとうございます！もう読めないのかと思ってました涙無理せず自分のペースでいいので更新楽しみに待ってます (2019年5月6日 22時) (レス) id: e90def3f5f (このIDを非表示/違反報告)
こやりん(プロフ) - こももさん！大好きなお話だったので、パスワードがついてしまって凄く寂しくて残念だったのですが、帰って来てくださりとっても嬉しいです！ありがとうございます！！これからも、こももさんのペースでいいので楽しみにしていますね！最初から早速読み返しにいきます！ (2019年2月3日 18時) (レス) id: a77857653e (このIDを非表示/違反報告)
結璃 - こももさん！ありがとうございます(><)好きなお話なので読み返しておきますね♪お仕事と無理なさらないように頑張ってください！更新待ってまーす(^o^) (2019年1月31日 18時) (レス) id: 122fe42ca2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こももさん、こんにちは！また読めるのが嬉しくて読む前にコメントしてしまいました！（笑）ありがとうございます（ ; ; ）こももさんのペースで、更新楽しみにしています〜〜！！ (2019年1月26日 23時) (レス) id: 9847e18255 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こもも | 作成日時：2018年6月18日 15時
