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席に戻ると監督が帰る用意しろって言ってた。
椅子の下に入れていた鞄を持ち上げる。
なんの変哲も無い鞄の外ポケットにヘアピンを2本つけた。
悪くない。
「ツッキーどしたの？なんか嬉しそう」
「別に。うるさい山口」
「ごめんツッキー」
みんなをわかる道まで先導し自然と解散になった。
ピコンと通知音。
“今日はお疲れさま！仕事終わったよ！”
“お疲れさま、ちょっとそこで待てる？”
急いでそれだけ打ち込み、来た道を走る。
「…蛍くん！帰ったんじゃ…？」
「戻ってきた…」
お店のドアの前で律儀に待っていてくれた彼女は驚いていた。
あのタイミングで待てと連絡すれば分かりそうだが…天然…？
「電話でお話しするのかと思った」
「夜ですし、お送りしようかと」
息を整えながら会話を展開していく。
「そっか…えっと…気持ちはありがたいんだけど…」
なんだろう…？
「本当に気持ちは嬉しいんだけど…遠いから…」
「うん、大丈夫けっこう体力あるし」
「あ…違くて……」
？？
「車なの…」
！！
「だからこう、蛍くんが送ってくれるというか…蛍くんを送るという形に…」
なんでこの可能性を考えなかったんだろう？
恥ずかしすぎる。
わざわざ送られる為に走って戻ったことになる。
冷静な僕はいつになったら戻ってくるのだろうか。
「蛍くんがもし時間まだ大丈夫なら…」
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作者名：葉月 | 作成日時：2020年2月19日 20時
