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「おきゃくさま…?」

そう女性店員さんに呼ばれてハッとする。

「え…っと…すみません、僕寝てた…?」

外は完全に夜。

聞かなくても分かる。

すっかり寝てしまったようだ。

「よかったらお目覚めにハーブティーでもいかがです?」

「あ、すいません、いただきます」

ハーブティーは初めて飲むな…美味しいと良いケド。

時計見る、19時か。

母宛てに「夜ご飯食べてくるから」と連絡する。

即座に了解!とオッケーマークする猫のスタンプが返ってきた。



昼間にしか来たことなかったけど、マスター以外にも人いるんだね。

「お待たせいたしました、ハーブティーでございます」

慣れた手つきでカップに注ぐのを見ていた。

嫌味のない綺麗な声、白く細い女性の手。

「まずはストレート、2杯目からは少し濃い目に出ますので苦手じゃなければお砂糖を入れて飲まれるのがおすすめでございます、ごゆっくり」

ニコッと笑って去っていく女性店員さん…あれこの感じどこかで最近…?



落ち着かせるようにハーブティーを飲む。

香りの良いベルガモットの飲み終わりにミントがスーッと抜ける。

眠気はすっかりなくなっていった。

ハーブティーってすごい。

そんな事を思いながら急いで課題にとりかかる。

いつものジャズ音楽より、ケーキの仕込みをしているようなボウルと泡立て器がカシャカシャとぶつかる音が響いていた。



1時間ほど経っただろうか。

やっと課題が終わった。

ハーブティーの2杯目、言われたとおりに角砂糖を1粒。

ショートケーキとの甘みのバランスもばっちりで店員さんにお礼を言いたくなった。

鞄に教科書を詰めパーカーを羽織る。

席を立つ音を聞いてなのか、タイミング良くレジ前にあの女性店員さんも来た。

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作者名:葉月 | 作成日時:2020年2月19日 20時

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