23 ページ23
「ほんとうめぇなここの飯は」
監督に完全同意。
パスタも美味しいの?
ほんとなに?天才なの?
…とは口に出せず頷きながら無言でパスタを食べ進める。
適当な雑談の中でバレー部の話になる。
「何かお手伝いできる事は無いでしょうか…?」
とAさん。
「例えば部活の打ち上げをこの店でやるのはどう?ちゃんと栄養あるもの作れるよ!」
マスターも続く。
「ほんとか?それはありがてぇ話だ!さっそくだけど月末にこいつら練習試合なんだ、その後の…18時からとかどうだ?」
「うん、大丈夫だよ、烏野高校男子バレー部の貸切にしよう!」
このお店を…貸し切り…僕が?
(僕だけではないけど)
やった…!
(と、やはり声には出さない)
「14時には開店したいから、これ食べたらもうひと頑張り頼むよ!」
「はい」
週末にまたAさんに会える予定ができたわけで。
勝った報告のが良いだろうし…練習試合…がんばろっと。
実はかなり単純なつくりになっている
自分の思考回路に半分呆れながらも
堪えきれない笑いを喉の奥で咬み殺す。
一通り食べ終え、作業を再開する。
テーブルを運んだ先にいたAさんが僕を呼び止める。
「あの…月末の試合…がんばってくださいね!私マスターと美味しいお食事作って待ってますから!」
ニコッと笑う彼女。
あぁ…満たされていく。疲れが飛んだ気がする。
「どーもありがとうございマス。あの…ケーキも作りますか?」
照れと可愛いすぎて語彙力を失ったせいで小声になる。
「ふふ…っ!もちろん!ショートケーキ!作ります!飛びっきりの!」
お手本のような輝く笑顔で話すAさん。
興奮気味のせいかいつもより声が大きい。
山口だったらうるさいと言っているだろう。
でも僕はもっと聞いていたいと思えてしまった。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葉月 | 作成日時:2020年2月19日 20時