どうか憐れみを*2

Ep.59 ページ10

*




＿＿＿＿＿ッ＿＿＿ドクンッ＿＿＿




「……っぁはッ………」




喉に詰まっていた息を一気に吸い込むと

じわりじわりと全身に痛みが広がっていった




「っ……」




歯を食いしばる




？「Aさん！」


？「アンジェリア！！」




その声にゆっくりと目を開くと

私を覗き込むように
ホーンさんとチェスさんが立っていた





ホーン「良かった…」


チェス「…」




ホーンさんは安堵の表情を浮かべ

チェスさんは眉をしかめ唇を噛み締めていた




何があったのか




鈍い痛みが身体を支配していく




徐々に目の前の二人が霞んでいくのは

頬にひんやりと伝う涙のせいだ




痛みに涙しているのか

あの夢に涙しているのか




私が今こうしている状況が分からない




「あの…っ、何が…？」




ホーン「チェスが階段を駆けている時
Aさんに勢いよくぶつかって
階段から突き落としてしまったんです…
でもチェスは決して、悪気などは無くて…」




チェス「本当にごめんなさい！！

まさか、あなたが登って来るとは思ってなくて…」




そうか…そうだ、階段で

私はチェスさんを探していて…




「事故なんですよね…私は大丈夫です」




チェス「私が階段なんかで走って降りなければ」


「いいえ…」




ホーン「でも、目が覚めて本当に良かった

大怪我をされて、意識も無かったので
もしかして、死んでしまうのではと心配でした」




痛む腕をそっと上の方へ動かすと

頭に巻き付いた布に触れた




？「頭から血も出てたよ」




ん？と足元の方へ視線を向けると

クローリーが腕を組んで立っていた




クローリー「おはよう」




「っ、おはようございます…」




クローリー「気が付いて良かったよ」




「はい……」




吸血鬼三人に心配される始末




何やってるんだろ、私


また迷惑を掛けてしまってる




「あの…また手間掛けさせてしまってごめんなさい」


チェス・ホーン「「手間なんかじゃ！……」」




クローリー「そうだよ、正直言うと君の方が被害者なんだし」


チェス「すみません…」




クローリー「チェスの件もそうだけど…

君は、フェリド君に目を付けられた時から
面倒に巻き込まれてるんだし」




久しぶりに聞いたフェリドの名前




そうだ…あの人に目を付けられたから…




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