9 ページ10
.
「話があるの」
いつも通りに屈託のない爽やかな笑顔を向ける彼を、どうやって嫌いになれば良いというのか。
残念ながらそれは無理だと、心のどこかでは分かっていた。
クリパの翌日、放課後の屋上に快斗を呼び出す。
話を切り出すには大分勇気が必要だったが、昨日のあの光景を思い出せば言葉はすぐに口から滑り落ちた。
「……え?」
「だから、別れようって。それだけ」
「いや、え?……ちょっ、ちょちょ、ちょっと待てって!」
彼の静止も聞かずに屋上のドアを開けて逃げ出す。
きっと今、快斗は喜んでいるだろう。
やっと別れられて、そして青子ちゃんと堂々と付き合えるって。
急いで靴を履いて、地面にシミを作り続ける涙を黒いコートで拭う。
「バカみたい……」
期待していた自分が馬鹿だった。
もしかしたら、追いかけてきてくれるかもって……
.
「おいA、ちょっと話が」
横目でちらりと見て素通りする。
胸が痛むけど、浮気の事実を知っておきながら仲良くするなんて私には無理だ。
「Aいいの?快斗くん呼んでるけど」
「いいの、もう別れたから」
そう口にすれば、友達は驚いたように私と快斗の顔を交互に見ていた。
.
「なぁ、いいかげん理由教えろよ」
無視すんなって、と帰り道まで付きまとう快斗。
ついに痺れを切らしたらしい彼は私の腕を掴んで引き留めた。
「……なに」
「何で、俺と別れたいの」
眉を下げて無理矢理に笑う顔を見ていたら、思わず抱きしめたくなった。
けれども、それじゃあ今までと同じで浮気される、と我に返る。
もし青子ちゃんと別れたとしても、一度浮気されたらもう信じられない。
「もう好きじゃなくなったの」
「は……」
腕を掴む力が弱まったと思ったその隙を逃さず、するりと抜ける。
ごめんなさい、と小さく呟いてから放心状態の彼を置いて家へ急ぐ。
追ってこないところから見ると、もう私を諦めたのだと思う。
「俺は!ずっとお前が!……好きだからなー!!」
人がたくさん歩いているというのに、恥ずかしげもなく叫ぶ彼を見て頬が熱くなったのはきっと気のせいだ。
.
ラッキーアイテム
トランプ銃
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーパートナー
黒羽快斗
138人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みっ(プロフ) - 未来ーミクーさん» 楽しんで頂きありがとうございました!次作も今週くらいにできる予定なので、是非そちらもよろしくお願いします! (2020年1月14日 20時) (レス) id: 623dd5745c (このIDを非表示/違反報告)
未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです!!私までもが熱くなりました。今でも体中が熱いです。更新頑張ってください! (2020年1月13日 19時) (レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
みっ(プロフ) - 星麗奈さん» 時間かかってしまって申し訳ないです!やっと完結しました〜 (2020年1月13日 9時) (レス) id: 623dd5745c (このIDを非表示/違反報告)
星麗奈 - 続き楽しみにしてます! (2020年1月6日 21時) (レス) id: 3e044ff672 (このIDを非表示/違反報告)
みっ(プロフ) - 実桃さん» ありがとうございます!更新頑張りますので楽しみにしててください! (2019年12月19日 7時) (レス) id: 069a13c367 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みっ | 作成日時:2019年12月14日 15時