検索窓
今日:44 hit、昨日:38 hit、合計:48,320 hit

23 ページ24

.









「………あれ?」


思わず缶にプリントされた『ココア』という文字をまじまじと見つめる。


本当にココア?


目をゴシゴシと擦ってみても、やっぱりココアだ。



「業者さん中身間違えた?」



真面目にそう思うほど、これはココアなんかじゃない。


「甘い……」



甘い、甘すぎる……何これ?

私の知っているココアはもっと苦い。


ココアってこんな甘かったっけ?


今まで飲んでいたココアは何?



「…大人になったってことかな」


ひとり呟いて、納得する。

そういう事か。大人になったんだな、私。


今度コーヒー飲んでみよう。


今までよりもずっと甘くて美味しいココアを一気に飲み干すと、ウキウキ気分でスキップをしながら家に帰った。


「ただいまー……」


寝ている快斗を起こさないようにそうっとドアを開ける。


薄暗い部屋の中、紺色のソファを見やる。



………いない。



突然来て突然いなくなる……なんて彼らしい。


ソファの上には、快斗の代わりと言っては小さすぎる紙切れ一枚が乗っていた。



『聖夜、貴方というプレゼントを頂きに参ります』



右下には快斗みたいにニヤリと笑うキッドマーク。


……きっとこれが風に飛ばされた予告状だ。


わざわざ拾ってきたのか、それとももう一枚持っていたのか。

どっちにしろ嬉しい事には変わりない。


けれどもプレゼントが私って……

相変わらず怪盗キッドな彼は気障だ。


ソファには快斗の温もりがまだ残っていたようで、座るとほんのり温かい。



「えっ………!」


自分で出した声に自分で驚いて口を抑える。


持っていた予告状を何気なく裏返すと、真っ白なはずの紙面に黒いボールペンの字が刻まれていたのだ。



『付き合ってるに決まってるだろ』



惚れ惚れするほど達筆なこの文字は、快斗の字だ。


……あのとき。

家を出る前に呟いた言葉……聞かれていたのだ。


自分でもありえないほど頬に熱が集まるのが分かる。




─────……今日は、最高のクリスマスだ。

Epilogue→←22


ラッキーアイテム

トランプ銃

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーパートナー

黒羽快斗


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (65 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
138人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みっ(プロフ) - 未来ーミクーさん» 楽しんで頂きありがとうございました!次作も今週くらいにできる予定なので、是非そちらもよろしくお願いします! (2020年1月14日 20時) (レス) id: 623dd5745c (このIDを非表示/違反報告)
未来ーミクー(プロフ) - 面白かったです!!私までもが熱くなりました。今でも体中が熱いです。更新頑張ってください! (2020年1月13日 19時) (レス) id: 6e3b9846a0 (このIDを非表示/違反報告)
みっ(プロフ) - 星麗奈さん» 時間かかってしまって申し訳ないです!やっと完結しました〜 (2020年1月13日 9時) (レス) id: 623dd5745c (このIDを非表示/違反報告)
星麗奈 - 続き楽しみにしてます! (2020年1月6日 21時) (レス) id: 3e044ff672 (このIDを非表示/違反報告)
みっ(プロフ) - 実桃さん» ありがとうございます!更新頑張りますので楽しみにしててください! (2019年12月19日 7時) (レス) id: 069a13c367 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みっ | 作成日時:2019年12月14日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。