初恋とココア【黒羽快斗】

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「その………ポストの予告状、気付かなかったか？」


「ポストの、予告状………？」



ポストの予告状………ポストの…………



繰り返し呟いて、はたと気付く。



「あ、たぶん風に飛ばされて……」


あはは、と笑うと快斗は目を丸くして「嘘だろ」とでも言いそうな顔をした。



「どんな予告状だったの？」

「いや……なんかもういいよ」

「え！？気になるじゃん、教えてよ」



涙も引っ込み、すっかりいつもの雰囲気だ。



「とりあえず、あれだ。メリークリスマス」


ポンと白い煙を立てて快斗の手の中に現れたのは、艶やかな一本の赤いバラ。



「誤魔化さないでよー」


笑いながらもバラの花を受け取る。


ふわりと香る甘い匂いに快斗の匂いが混ざって心地よい。



「あ！ごめん、私プレゼント用意してない」


「いーよ、もう貰ったし」


「えっ？どういうこと………？」


「別に？」



ニヤリと笑う大好きな顔。


じっと見ていると不意にその顔は歪み、不満そうに眉を下げた。



「それにしてもよー、白馬なんかと手繋ぐなよな」


「み、見て……！？」


まさかあんな所を見られていたとは。


人前で手を繋ぐのは私にとってかなり恥ずかしいものだったし、しかも相手は百戦錬磨の白馬くんだ。

不釣り合いだとか思われてそう。


別に白馬くんが好きだとか云々では無いのだけれど。


恥ずかしさやら申し訳なさやらで何とも言えない気持ちになる。


「あいつがあんな小洒落た店にお前を連れてった意味、分かる？」


「わかんない」


「クリスマスイブをお前と過ごしたかったからだよ」


「えぇ………」



予想外すぎて言葉も出ない。


開いた口が塞がらないとはまさにこのこと。


しかも快斗が白馬くんの気持ちを知っているという謎の現象。


どこをどう つっこめば良いと言うのだろうか。









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