初恋とココア【黒羽快斗】

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ゆらりと近づく影に、足に込める力をより一層強くする。



そうだ、スマホ………スマホで警察を呼ぼう。


そう思うのに、天板の上にあるスマホにはなかなか手が届かない。



かちゃりと音がした。


見ると、目の前の影は何かを構えている。



……あの構え方、やっぱり銃だ。



快斗の声、顔、唇の柔らかさ、その全てが走馬灯のように私の頭を駆け巡る。



ありがとう、快斗──────……





ぱしゅ、という音と共に手に伝わる振動。


銃声は想像していたものよりも軽く、しかも狙いが外れたようで持っていたリモコンに命中したようだ。


まだ生きられるかも、そんな希望を持って手から滑り落ちたリモコンに目をやると、傍らには一枚のトランプ。



………トランプ？



「………は？」



私の間抜けな声が部屋に響くと、パッと視界が急に明るくなる。



「メリークリスマース！！」



目の前で両手を広げ、いたずらっ子のような顔で笑う白い影─────怪盗キッドがそこにいた。



「か、いと………」



なんだ、快斗だったのか。


見慣れた顔に安心すると、急に足の力が抜けて膝から崩れ落ちる。



「お、おい！大丈夫か！？」


「大丈夫な訳、無いでしょ……」



ずっと張り詰めていた糸が切れたように、とめどなく溢れ出る涙が頬を濡らす。


そんな泣き顔を見られたくなくて下を向いた。




「私、死ぬかと………っ」



本当に、死ぬかと思った。

もう二度と快斗に会えないと思った。


大袈裟かもしれないけど、それだけ愛する人と会えないという寂しさを身に染みて感じたのだ。


服の袖でゴシゴシと目を擦っていれば、キッドの姿をした快斗は慌てたように近寄ってきて私の背中をさする。



「ご、ごめん……泣くなって」



背中に伝わる快斗の大きな手の温もりが、私をひどく安心させた。









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ラッキーアイテム

トランプ銃

ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーパートナー

黒羽快斗

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