いかないで《Hikaru.I》 (ページ3)

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☆出会いページ3

照side

仕事終わりに楽屋にあった雑誌で見かけたチョコ専門店に来てみた。

「いらっしゃいませ。」

落ち着いた雰囲気のお店で、客はカップルと女の人ばっか。
今まで何回も1人でチョコ専門店には行ったことあるけどまだこの空気感に慣れなくてちょっと恥ずかしくなる。

でもショーケースに入ってるチョコを見るとそんなの忘れて真剣に選ぶ。

「ホワイトデーで誰かにお返しなさるんですか？」

店員さんの声が降ってくる。

『え？あ、いや。自分のです。』

真剣に選んでたのになんだよと思って顔をあげる。

その瞬間俺はその店員さんから目が離せなくなった。

よく仕事をさせてもらうモデルさんとか女優さんに多い、ぱっちり二重、小さな顔、スタイル抜群。みたいなThe、美女みたいな感じではない。

でも、誰が見てもかわいいと言うであろう愛嬌や魅力がその人にはあった。

「もしよろしければ一緒にお選びしましょうか？」

その人の声は聞こえているのに見惚れてしまってしばらく動けなくなる。

「どうなさいました？」

はっと我に返る。

『えっ、あ、ごめんなさい。いいんですか？』

「はい！もちろん。」

『じゃあ、おねがいします。』

「ミルクとダークどちらがお好きですか？」

『ミルクです。』

「ではこちらはいかがでしょうか。」

そう言ってチョコを指さす。

「こちらはミルクチョコレートなんですが、甘ったるすぎないのが特徴です。」

『へぇ～、じゃあこれ1つ。』

「はい。かしこまりました。」

『後2つ買いたいんだけど、お姉さんのお任せでもいいですか？』

「私でよければお選びします。」

店員さんは少しびっくりしたみたいだけどそう言ってくれた。

『じゃあ、お願いします。』

なんだか恥ずかしくなってそっけなく言ってしまった。

その人は手際よくチョコを詰める。

「お待たせしました。私のオススメ、お気に召すかはわかりませんが…」

心配そうにそう言う。

『ううん、大丈夫です。無茶言ってごめんね？
ありがとうございます。』

そう言ってその人に笑いかけて店を出る。

チョコを詰める真剣な顔や、俺が店を出る間際のほっとしたようなあの子の顔が脳裏に焼き付いて離れない。

嘘だ。あんな短時間で？
ほんの少ししか会話を交わしてないのに？

でも、これは間違いない。

完璧な一目惚れだった。