☆21 ページ21
逃げちゃダメだって事ぐらい分かってた。
でも、今の俺にAを大事にできる、守れる自信がなくて、俺は今日別れを告げることを決めた。
別れよ、って言葉は、意外と簡単に口から出てきた。
言ってしまったものは取り返しがつかないし、これでいいんだと自分に言い聞かせる。
Aはきっと泣くだろうなと思ってたけど泣く気配もなくて、よかったなとほっとする半面、少し寂しくもあった。
A｢ありがとう。｣
しばらく沈黙が続いた後、Aは一言そう言った。
これ以上一緒にいたらきっとダメになる、そう思った俺はAに背を向けた。
去り際、Aが静かに泣く声が聞こえた。
でも俺は、振り返ることなく歩き始めた。
.
Aがあの小さな体で必死に背負い込んでいた俺らの未来は、ちょうど今日の夕日みたいに、儚げに揺れていたのかな。
そんな事を考えながら家路につく。
急にポタっと顔に冷たい何かが当たって、雨が降っている事に気がついた。
次第にポタポタと周りの地面が濡れていき、あっという間に本降りになった。
ふと空を見上げると、オレンジ色の粒が、綺麗に街に輝いていた。
傘は持っていない。
かと言って急ぐ気もない。
俺は雨に当たりながら、Aとの思い出を思い返していた。
学校帰りに、2人で自転車でこの道を通って遠回りしたのを思い出す。
俺の腰に手を回して自転車に座ったA。
俺の胸が高鳴った。
でもそれと同時に背中にも暖かい鼓動を感じてた。
不器用すぎた俺たちも、いくつかの季節を越えれば、お互いまだ見えない幸せな日に巡り逢えるのかな。
いや、でも俺はA以上の人に出会える自信が無い。
『さよなら。』
さっき、そう言い切ってしまえばAの傷も少しは癒えたんだろうか。
＿＿会いたいっ
あの時Aがそう言って泣いた声が、今も胸に響いている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2594人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
日葵(プロフ) - I.H.さん» ありがとうございます！(泣)今日か明日、続きを出させて頂こうと思っていますのでもう少しお待ちください！これからもどうかよろしくお願いいたします!! (2022年2月16日 18時) (
レス) id: 480705f8ac (このIDを非表示/違反報告)
I.H. - 今日見つけて一気読みしちゃいました...すごく面白いです、続きめっちゃ楽しみにしてます！！！ (2022年2月15日 15時) (レス) id: 7a604cb31f (このIDを非表示/違反報告)
日葵(プロフ) - リナさん» そうなんですよ（泣）この切れてしまった糸がどうなるのか…これから時間軸現代に戻りますので続きを楽しみにしていただけたら嬉しいです(*´˘`*) (2021年12月19日 23時) (レス) id: 480705f8ac (このIDを非表示/違反報告)
日葵(プロフ) - スノ姫さん» ですよね〜(；；)運命の人分かればいいのに！笑ありがとうございます！！（泣） (2021年12月19日 23時) (レス) @page23 id: 480705f8ac (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - えー！！離れても手繰り寄せて再開できると思ってたのに切れちゃったんですね（泣） (2021年12月19日 21時) (レス) @page23 id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：日葵
| 作成日時：2021年11月28日 0時
