episode24 ページ26
陽が落ち始めて、空が茜色に染まる頃、まふくんは静かに帰ってきた。
真っ赤な目、擦った跡。
明らかにそれは泣き腫らした後の顔で。
A「…まふくん?」
まふ「……あ、ただいま」
驚く私相手に、慌てて笑顔を作って。
初めて見た彼の傷ついている表情に慌ててしまう。
何か、あったのかな。
聞きたくても、私なんかが踏み込んじゃいけない気もして。
まふ「ごめん、今日は僕もう寝るね」
まふくんは顔を隠すとサッとは私の隣りを通り過ぎて、寝室に篭ってしまった。
大丈夫?だとか、どうしたの?だとか。
かけたい言葉はたくさんあるのに。
臆病な私は、彼の支えになってあげることもできない。
閉じられたドアをそっと開けて、布団に潜り込んでいるまふくんにそっと声をかける。
A「まふくん、おやすみ」
こんな事しかできない私は、非力だ。
*
まふ「Aおはよう〜!」
翌朝、私が朝食を作っているとまふくんが後から声をかけてきた。
いつも通りの声色で。
A「まふくん、おはよう。もう、大丈夫…?」
まふ「うん、もう平気!昨日はごめんね?」
A「私の方こそ、力になれなくてごめんなさい」
昨日とは違ういつも通りのまふくんに慌てて謝れば、頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。
A「うわ、ちょっと…!」
まふ「へへ、Aの髪の毛ぐしゃぐしゃ」
A「まふくんがやったんでしょ!」
いつの間にか、普段と同じテンポを取り戻している。
うん、きっと、大丈夫。
まふくんは笑ってくれている。
A「あのね、まふくん。私、そらるさんとちゃんと話すことにした」
くすくす笑っているまふくんにそう告げれば。
まふ「…そっか。うん。がんばれ」
ふわりと優しく微笑んで、次は頭を優しく撫でてくれた。
友人にこんなに助けられているんだ。
ちゃんと、話さなくちゃ。
優しいまふくんの為にも。
*
この時の私の考えが甘かったと気づくのは、既に限界がきていたときだった。
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100%片想い(プロフ) - 続き読みたいです!更新待ってます!! (2018年11月27日 2時) (レス) id: 94966a5fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル - いつまでも待ってます!体を大事にして、元気になってくださいね (2017年2月13日 0時) (レス) id: 67cf8ebdf7 (このIDを非表示/違反報告)
雪うさ*もふもふ - 事故、大丈夫ですか?お体大切になさって下さいね。 (2017年2月9日 0時) (レス) id: 86113a1169 (このIDを非表示/違反報告)
美結 - えっ終わり?ウソォ…いいとこやったのに泣 (2017年1月6日 2時) (レス) id: bdbc64998c (このIDを非表示/違反報告)
いなり - なッ…………!!!! まっ、まだそらるさんと仲直りしてないじゃありませんか………… (2016年9月25日 18時) (レス) id: 3ed2eb064c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たそ x他1人 | 作成日時:2015年9月22日 16時