猫系彼氏【そらる】

episode20 ページ22

そらるside







ろん「…ごめんね」


そらる「んーん」







体育座りをして部屋の隅にいるろんさん。



目は真っ赤に腫れている。







ろん「やっぱ、私だめだなぁ〜」







あははと悲しげに笑う彼女。



彼女の家は厳しくて。



ろんさんはいわゆる箱入り娘、親は過保護で。



いつも明るく振舞っていても、無理してるのがバレバレ。







そらる「泣いてもいいよ」


ろん「べっつに〜平気だもん」







ほら、そうやってまた強がる。



彼氏だったのに救えなかったのが辛くて、悔しくて。



それでも、今思うのは。



同情で付き合ってたのかな、なんて。



俺は最低だ。







ろん「…そらるさん好き」


そらる「うん」


ろん「もう、やだ…ひとりはやだよ」







ぎゅーっと俺に抱きついてきて。



お願いだからそんなに俺を頼らないで。



俺はそんな優しい奴じゃないから。



ろんさんも、Aも傷つけない方法なんて。



考えられないんだ。







そらる「…ごめ、ん」


ろん「Aちゃん、いい子だもんね」


そらる「…うん。Aが好き」


ろん「知ってる」







へにゃりと笑った彼女は。



俺の頭に手をのせて。







ろん「幸せになって」







優しくなでて涙を流した。



そんなろんさんを俺は抱きしめる。







そらる「ろんさんも」


ろん「あたりまえっ…」







俺の肩がじんわりと暖かくなってきて。



ろんさんの涙が見えて。



胸がきゅっとなるのに気づかないふりをする。



ごめん、ろんさん。



やっぱり俺には、Aしかいないみたいなんだ。

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