猫系彼氏【そらる】

episode17 ページ18

まふ「大丈夫？」


A「うん、大丈夫」


まふ「何かあったら電話してね？」


A「ありがと」







そらるさんとちゃんと話をしなくちゃいけないから。



私はまふくんと別れて、家に帰る。



ほんとうは未だに信じられない自分がいる。



あれが全部夢だったらな。



歩きながらぼーっと考える。



少しすると家が見えてきて。



嫌なシーンがよみがえる。



玄関の前で足がすくんじゃって、どうしようもできない。



ひとり、ためらっていると。







「………Aちゃん？」







後ろから聞こえてきた声は。



私が今、一番会いたくない人。







A「…ろんさん」


ろん「あのさ、Aちゃん」


A「はい」







私の知っているろんさんは、明るくていつも元気だから。



真剣に言われると、なんだか新鮮。



ろんさんは少し悲しそうに、ふにゃりと笑って。







ろん「私。そらるさんが好き」







わかりきっていたことなのに。



やっぱりはっきり言われちゃうと、複雑な気持ちになる。







ろん「…私、そらるさんとキスした」


A「……」


ろん「2人が付き合ってるのは知ってるの。でも私、やっぱりそらるさんが好き」







私にそう言うろんさんは。



触れたら壊れてしまいそうなくらい震えていた。



大きな瞳には涙がみえる。



ろんさんは本当にそらるさんが好きなんだろうな。



一生懸命な彼女を見て思う。







ろん「ごめんね」







謝られても私は返す言葉がなくて。



私たちの間に沈黙が訪れる。



そんな時だった。







「A…ろんさん…」







ガチャッと目の前のドアが開いて。



大好きな、そらるさんが。



私たち2人を見て、辛そうな顔をしたのは。

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