捌話×会話 ページ8
起きたころにはもうすっかり日が暮れていた。
「お目覚めですか、A様。調子はいかがでしょうか」
使いのナルが様子を見に来てくれたようだ。
「睡眠を取ったから、良好よ。明日、町に出掛けたいのだけれど、問題無いかしら?」
「えぇ。母上様も父上様も忙しいので、問題無いでしょう。銭はどう致しますか?」
「1円くらいは持ちたいわね」
「承知しました。明日にはご用意致します」
「ありがとう」
ナルは昔からいる使いで私の一番の使いだ。並の者より、行動が早く、責任感が強い。
夕食の準備が出来たみたいなので、食事の間へと向かう。
食事の間にはイスとテーブルがズラリと並んでいる。これは全て父上が西洋から取り入れたもので、家はもう日本の名残が無かった。
「A、体の調子はどうだ」
父上が開口一番に体について持ち掛けてきた。
「もう問題ありません。ご心配をおかけして
申し訳ありませんでした」
「それならいい。気をつけろ」
「はい」
ここの食事は大抵無言で、百姓の家とは違い殺伐としていた。百姓の家では、家族全員が明るく会話をしており、楽しそうで羨ましいと思った。
部屋に戻ると、ギルが不機嫌そうにしていた。
「我の食事が無いではないか」
「ごめんなさい、ギル。食料庫から何か持ってくるわ」
「酒も忘れるなよ?」
英霊もちゃんと食事をするんだ…。
日本酒とパンを持ってきてやった。すると、ギルは酒を最初に飲み、あっという間に飲み干してしまった。
「なかなかの上物ではないか。もっと持って来い」
王というものは、どうしてここまで強欲なのだろうか。せっかく持ってきたパンは一切手をつけず、満足するまで酒を飲んでいる。
ギルは満足すると姿を消した。
明日に備えて準備をする。
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美虎都(プロフ) - 面白い過ぎて!続きが気になる|´-`)チラッ (2017年10月31日 2時) (レス) id: 6e6a008299 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ここあ | 作成日時:2015年11月24日 1時