[Fate]聖杯乱戦第弌次 (ページ3)

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参話×英霊ページ3

ここへ来てから、かれこれ3時間も経った。既に日も暮れ、父上には叱られるであろう。

「A、何を悩んでおる?」

ギルが顔を覗かせる。物語に登場するような整った顔だ。

「……人目を避けるにはどうしたらいいのかと思って」

「霊体化を知らないのか」

「霊体化……?」

「何も知らぬようだな、その書物を読め。話はそれからだ」

ギルがスッと姿を消す。今のが霊体化というものか。

「さて、家に帰らないと…」

＿＿＿＿＿ｶﾞﾁｬ…

「A、ただいま帰りました」

帰宅を告げると、すぐに足音がした。

「遅かったな、A。何をしていた？」

「父上、申し訳ありません。腕を怪我しまして」

父は眉をひそめた。

「怪我をしただと？お前は東北をおさめた武将、伊達政宗の末裔であるぞ!!!!自覚を持って行動せよ!!!!!」

「以後気を付けます」

父が立ち去ると、ギルが再び姿を現した。

「彼奴はつまらん男よのぅ」

「そうだけど、結構権力はあるのよ?」

自慢げに父について話す。

「我には足元にも及ばん」

真顔で返されて、少しショックだ。王になどかなうはずがない。

ギルが姿を消すと、部屋に向かう。

「そういえば、聖杯戦争とは……」

色々知るために、書物を開く。

そして、一通り読み終えた。

…聖杯……なんでも願いが叶うもの…。

ギルも聖杯のために…？

「読み終えたか？」

父上が南蛮から取り寄せたソファとやらに座るギル。

「ええ。ギルも聖杯が欲しいの?」

「聖杯など興味はない。ただ、雑種共が財宝を奪い合うなど、王として見逃すわけにはいくまい」

この凛とした佇まい、女神イシュタルが求婚するのも無理はない。

「そう。まず、他にどんな英霊がいるのか把握しないと戦が始まらないわね」

「何をするのだ？」

「とりあえず、怪しいところを徹底的に探るわ」

「周囲の魔力を感じ取ることは出来ないのか」

「そんなこと…魔術なんてまだ治癒くらいしか……」

魔術を初めて1年くらいしか経っていない。しかも独学だ。こんな短期間で高度な技術など身に付くはずが無い。

「お前なら出来る。この我を召喚したのだぞ」

「わかった。やってみる」

身内に気づかれぬよう、外へ出向く。