私のいつもじゃない日常 (ページ4)

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何者？ページ4

チャイムが学校中に響き渡る。生徒の合図により授業が終わる。
「どうしたの、A！ずっとぼーっとして、らしくないじゃん。」
友人が私の方に駆け寄ってきて心配そうな顔をする。
「ううん、大丈夫。考えごとしてただけ」
私はいつものように友人に笑顔を向け、帰り支度をする。
「そっ、ならいいんだけどさ、ねえねえもう一回転入生見に行かない？」
「うん、私も見に行きたいと思ってた。」
「えっ！Aが男に興味出すなんて珍しい！まあ、あの転入生なんか、こう、ふわふわしてかわいかったもんね！」
「あははっ」
(正直そういう感情じゃなくて、朝会った人と別人…双子とか、そういうのを確認しに行くだけ。それと言って思い入れはないんだよね…)
「それじゃ、いこ！」
友人は私の手を引っ張りグイグイと先に進む。彼のクラスの前まで来る。
「あれー？おっかしいなあ。もう帰っちゃったのかな？転入早々帰るの早いって…」
教室にいるのはほんの数人。その中に転入生の姿は見当たらなかった。
「しょうがない、諦めて帰ろう」
「うん」
友人と下駄箱に向かって歩き出す。
「いいよね、転入生くんと同じクラス！名前…えっとなんだっけ」
「…獏良了くん」
「あ、そうそう！変わった名前だよね、“ばくら”って、あとりょうはよく聞くけど了って漢字の名前はそうそういないよね」
「うん、不思議だよね」
下駄箱で靴に履き替え学校の門を通り抜ける。
「あっ、やっときた！」
そのセリフに私と友人が反応して声のするほうに向く。
「えっ…獏良！」
「転入生くんだ！」
「待ってたんだよ、さっ、帰ろう？」
獏良は私の腕を引っ張るとそのまま駅の方に走らされる。振り返ると友人がぽかーんとして私たちを見つめている。

手を引っ張って走る獏良の顔を見る。私にはわかる。さっきみた柔らかい笑顔の獏良じゃない。朝の獏良だ。演技でもしているようだけど私にはお見通しだ