8．馬鹿とは？ ページ9
「とりあえずもう少し待ってもらうことになるから、勇次郎はこの後スムーズに進むようにサビの振り付けを確認しておいて。えっと…まだ行ってない部屋あったかしら…」
「分かりました。…それと、成海さんの妹ってAのことじゃないですか？」
(え…何で分かったの！？)
染谷くんと内田さんがこちらを向いた。内田さんは「A…？」と不思議そうな顔をしていたので、私は染谷くんへの質問を一旦飲み込み、口角を上げる。
「初めまして、成海Aです。あの、内田さんがおっしゃっていた“聖奈ちゃん”って成海聖奈でしょうか？」
「ええ、そうよ……というか貴方たち、知り合いだったの？」
内田さんはLip×Lipのマネージャーだと名乗った。彼女は「よほど仲良しじゃなければ、勇次郎は呼び捨てで呼ばないから」と探りを入れてくる。
(うーん…仲良し、なのかな？)
友達以上恋人未満みたいな感じだろうか。
それより忘れ物を内田さんに託した方がいいだろう。
姉の台本を渡そうと＿
「…そうですね。彼女を一言で表すなら馬鹿で後先考えずに動く子、ですかね」
「ば、馬鹿！？」
思いがけない発言でマネージャーさんにお願いするタイミングを失った。
「あぁ〜…あの時、勇次郎話してた子ね！」
「ええっ！？」
もう話についていけない。染谷くんの罵倒に文句を言いたい(「事実でしょ」とか「え、褒めたつもりだよ？」と躱されるのだろうけど)。
「それにしては距離できてるわね？喧嘩でもしてるの？」
(喧嘩…まだそっちの方が良かったのかも)
内田さんの率直な意見に考えてしまう。もし私たちが長続きしていたら、今どうなっていたのだろうかと。
ふと、染谷くんは何と答えるのだろうと彼に目をやる。
彼は、にっこりと微笑んだ。…嫌な予感がする。
「実は僕、好きな人がいるんです」
「…！？」
びっくりして、バサバサバサーッ……………と持っていた台本から分厚い資料が飛び出す。
思考は完全に止まっていたが体は勝手に動いてそれらを拾い始めた。
王子様感溢れる衣装に身を包む彼は「大丈夫！？手伝うよ」と声をかけてくる。
こうなったのは誰のせいだと思ってる???
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
