7．あざとい男子 ページ8
言われた言葉を理解する前に、両肩を優しく掴まれ彼と向き合う形にされた。
「離れて行かないで」と恋人つなぎをしてきた時とは違い、何かを決意したような凛々しい顔つきの染谷くん。
その真剣な瞳に釘付けになっていると、頬を手で包み込まれる。
「君が他の誰かを好きになっても、僕は変わらず君を好きでいるから。もう一度、僕を好きにさせてあげる」
「えっ！？そ、んっ」
最後まで言葉が続かなかった。遮るように落とされた口づけによって。
(「好きにさせてあげる」って、そんな…っ)
ちゅ、ちゅっ…と唇を食まれ抵抗の声を上げられず、
「はぁ…そめやくん、やだ…」
ようやく離れたときには、息が切れて視界がぼやけていた。
そしてふらついた私を、彼の逞しい腕が支えてくれる。と思ったらグッと近づいた顔。
「…A、まだ足りないんだけど」
「はい！！？？」
「ほら。目、閉じて？」
こっちは２回目どころか最初のキスも許していないのに。
目の前の彼は、冗談なのか本気か分からない笑顔で腰を抱き寄せ…いやスマートすぎるのでは？
(やばいこれは本気だ…！)
「そ、染谷くん！ここ撮影場所だからっ！誰か来たらアイドル人生終わ＿」
「誰も来ないよ。Aは僕とするの嫌？」
もう遅いかもしれないけれど拒否した私に、こてんと首を傾げたLip×Lipのアイドル。
身長的に見下ろされている体勢なのに可愛いと思ってしまうのはなぜなのか。
早急に会議を開くべきだ(それで『あざとい男子を上手くかわす99の秘訣』的な本を出版して下さい買うので)。
だって上目遣いでもないのに、こんなにドキドキすることある？？
その時、
「勇次郎ー！ここにいるー？」
女性の声が聞こえて、我に返る。
ドアが開くのがスローモーションに見えてどうしようかと悩む前に、パッと手を離され私は床に座り込んでしまった。
案外あっさりな彼の対応に勝手に胸が苦しくなる。
「内田さん。何かトラブルですか？」
内田さん、と呼ばれた女性は「トラブルじゃないわよ」とスマホ片手に話し始める。
「愛蔵のパート撮ってるんだけど、聖奈ちゃんが台本を忘れたって言ってて…。監督に言われたアドバイスとか、彼女が考えたシチュエーションとかが書いてあって、いい作品を作るためにとにかく大事なのよ！聖奈ちゃんの妹ちゃんが持ってきてくれるらしいんだけど…」
(忘れ物…？もしかして＿)
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
