10．彼の本音 〜YUZIRO Side〜 ページ12
『ゆう…染谷くんが輝かしいアイドル人生を歩んでもらうためには、噓ついた方が別れやすいでしょー』
２年生の校外研修。やけに耳に届いた声は、僕が手を離してしまい後悔している子のものだった。
僕はLip×Lipというアイドルだ。自分で言うのもなんだけど、結構人気のあるユニットだと思う。
諦めざるを得なかった歌舞伎の道から勢いで受けたオーディション。
大変なことも多いけれど、やりがいを感じるアイドルの仕事。
今ではライブだけでなくCMやバラエティー番組にも出演させて貰っていて、「上手くいって良かったね」なんて周りの人に言われるくらいだ。
でも僕には、忘れられない人＿いわゆる元カノがいる。
彼女の名前は成海A。
馬鹿でドジなくせに、ちゃんと人のことを見ていて誰かのために動ける子。
そんな彼女とは、最近よく会う。まぁ、偶然を装って僕から会いに行く時もあるんだけど。
『あら〜あらあら！だーいじょうぶよ！出演者に荷物を持たせるわけにはいかないわぁ！』
『ロメオ』のリメイク版の撮影日、成海さんの妹だったらしいAが忘れ物を届けにスタジオに来た。
彼女はよっぽど僕にバレたくなかったのか、おかしな小芝居を打っていて。
笑いそうになるのを堪え、その小芝居に付き合ってやる。きちんと正体を暴くラストシーンも忘れずに。
『君が他の誰かを好きになっても、僕は変わらず君を好きでいるから。もう一度、僕を好きにさせてあげる』
そう言って、真っ赤になって慌てふためくAに口づける。
彼女とキスをするのは１年ぶりくらいなはずなのに、何十年にも感じられた。それと同時に自分の中である決意が固まった。
(＿Aとまた付き合う)
「え、え〜？染谷くんって好きな人いるんだ〜知らなかった〜…！」
あはは、なんて作り笑いを浮かべている目の前の女の子に、怒りを通り越して呆れてしまった。
(…は？あそこまでしたのにまだ気づいてないの？)
「拾っていただいてありがとうございます」と資料を拾っているAの手にわざと自分のを重ねる。ダメ押しとばかりに、すぐに壊れてしまいそうな程小さな手をぎゅっと包み込んだ。
「A、答えてよ」
「いや…あの……」
気づいていないかもしれないと思っていたが、そんなこともないと察する。頑なに僕と目を合わせようとしないからだ。Aは顔に出やすいタイプだから分かりやすくて助かった。
「慌ててる君も可愛いね」
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ほたる(プロフ) - 奈津さん» ありがとうございます！出来上がり次第、更新します！ (9月20日 6時) (
レス) id: 858ad6cafb (このIDを非表示/違反報告)
奈津(プロフ) - めちゃくちゃ好きです、更新楽しみに待ってます！！ (9月19日 22時) (レス) @page4 id: 1b362c8584 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2023年8月22日 17時
