Dear.__君へ捧ぐ__【HSJ】

12 むかしのこと。 ページ49

朝。



今日も、あの子達の元へ向かう。




知念も、裕翔も、何だか吹っ切れたような顔をしていた。



それは、昨日薮先生からかけてもらった言葉のおかげ。






「過去に何があろうと、これからあの子達を過去の傷まで守っていく。支えていくのは、俺たちだ。

何があろうと、あの子達から決して目を離しちゃいけない。

光が、もう一度大切なものを失わないよう。
大ちゃんが、もう一度捨てられないよう。

その為には、雄也の事を知って、もっとあの子達の事を分かっていこう。


けど、無理はするなよ？」




薮先生は、あの笑顔で、俺らにそう言った。


大丈夫。


俺らには、色んな人がついていてくれている。


あの子達には、俺らがいる。






三人揃って病室に入ると、皆ぐっすり。





「かっわいぃ〜」





毎日のように、天使すぎる寝顔に見とれていると、毎日のように、知念に怒られる。





「早く起こしてよ」



「あぁ、ごめんごめん」







「光くん、おはよう！」






早くも光くんは起きたらしい。

けど、また裕翔の腕の中でウトウトし始める。






「雄也、おはよう」



「...、起きてー」



「起きろー」





何度かそう言っていると、嫌々ながらも起き上がる。





『りょーすけせんせい』



「何？雄也」



『おはよう』






ほら、あのにへらーってした笑顔で、笑っている。



こんな可愛い子を、悲しませたくない。




少し、時間がかかるかもしれないけれど、聞かなきゃ。

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