憎さ余って可愛さ百倍【爆豪勝己】 (ページ3)

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「オイばくご……ッいやマジで死ぬから！！」

ぎらん、と明らかに殺意が“込められすぎている”眼に今現在心底ビビっている上鳴に少しだけ期待しようと思いたかった。切実に。
まあ、上鳴に立ち向かうように頼んでしまったアヤツは、モノで例えるならメガロドンの牙だとか、絶賛試用中のチェーンソーだとか、爆薬だとか。触れたら即死モノの代物だったから、私がわるうござんしたー、な訳だが。

だが上鳴は進撃を止めない。さっきは無茶ぶりとか言っていたような……と思ったけど、きっと気のせい。ズカズカと恐れを知らずに進む姿は、心配の四文字に尽きてしまうけれど。

「でも女子に本気とかお前……死ぬ死ぬ死ぬ死ぬッ！！！」
「待って上鳴氏ちょっと期待しすぎた選手交代。オイ爆豪よくも上鳴を木端微塵にしてくれたな」

木端微塵になってねぇよ、とも聞こえたけれど、言葉のアヤですよ、と誰かが言った。

こつん、一歩だけ脚を踏み出した。感情が再度高まる中でなんだか、ここは教室ではない気がしてきた。私と奴だけが、別世界に居る気がする。

両手の拳に力を込め、勢い良くぎゅっと握りしめる。朧気だったが、だんだんと実態を顕にしていく瓶の感触に満足して、私はソレをぶん、と振り翳す。キラリと人工的な光で輝く瓶が弧を描いて爆豪の額を指した。

「友情、努力、正義！！これくらい知ってろかすッ！！」

「大体私のせいだけど上鳴の仇、打ってやる！！」

掌から勢い良く離れた瓶は、ターゲットに向かって一直線に空気を割いた。