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太宰さんに着いていけば、とある倉庫に着いた。
『えっと……?』
「ふふ、少し待っていてくれたまえ」
疑問に思いながらも、云われたとおり太宰さんの横に座って待つ。
暗く静かな倉庫。
もしかしたら自分の心臓音も聞こえているのではないか……なんて、馬鹿なことを思う。
「………太宰さん、何読んでるんですか」
この空気に居たたまれなくなったのか、敦さんが口を開く。
「いい本」
「こんな暗い中でよく読めますね…」
「目はいいから」
いい本……気になって仕方がないので、グッと目を凝らすとだんだん文字が読めてきた。
『完全ジサツ読本??』
趣味悪い←←
「おや、見えるのかい?」
『暗闇に慣れたんで』
嘘です、目を凝らしてたんです←
つか、なんでここに居るんだろう。
雲に隠れていた青い満月が顔を出す。
私の居たところでは、こんなにきれいな満月は見えなかったな……。
目を閉じると、男友達と不良をボコっていたことを思い出す。
待てよ、ここは普通家族のことじゃねえの?
なんて考えながら、映画にいるような感覚で喧嘩しているところを見る。
客観的に自分を見ることはまあないからね。
ああ確か、この友達が彼女に振られてちょっと荒れたからストレス発散って言って浅草の不良全員ノシたんだよね。(大問題)
懐かしーな、つい一週間前のことなのに………。
私が死んだと聞いて、どんな反応しただろう。
満足して目を開ければ、白虎とバチッと目が合う。
『待て待て待て、なんで白虎?』
「?君、さっき何してたんだい?」
『え?感傷に浸ってましたけど??』
突然仕掛けてきた虎の攻撃を避けながら太宰さんと話す。
「…これは凄い。人間の首くらい…簡単にへし折れる」
『云ってる場合か』
ここで死ぬのか……と絶望の淵に立っていると、何か思いついたような顔をする太宰さん。
『あの、どーかしました?』
虎の死角に入り、太宰さんに声をかける。
「夜春、手袋を外して何かに触れてご覧」
何故、彼がそういうのか分からないが、取り敢えず言われたとおりにする。
右手の手袋を外し、地面に触れれば、頭の中に浮かぶ言葉。
『異能力「生と死」………伝達』
何だこれと思ったのも束の間、地面にヒビが入り、どんどん崩れていく。
これに驚いた虎は、私の真反対にいる太宰さんに向かって突進していく。
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作者名:マキア x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Cocktail/
作成日時:2022年1月17日 18時