あまおう second

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トレーニング室へ入っていった上田さんを見送って、そろそろ仕事に戻らんと。




よし、と一人で頷いて振り返ると後ろに少年が立ってこっちを見てた。





「うわぁっ！！！あ、えっと…西村さんやな？今日からの」



「はい。よろしくお願いします」



「ロッカー案内するから、着替えて来て。出た所で待ってるな」



「はい」






先日、体験トレーニングに来てくれた西村さん。


その時中間マネージャーが俺を担当にしてくれて、そのまま専属コースで入会してくれた中学生。





更衣室の外で着替えが終わるのを待ちながら、あの子いつからあそこにおったんかなと考える。



上田さんと話してるとこ見られてたら、めっちゃ恥ずいやん。




体験の時から思ってたけど、西村さんは中学生にしちゃ落ち着いててクールな感じ。


子供の時からドップリ体育会系の世界にいるとこんな感じになるんかな。





俺が作ったカリキュラムを一緒に見て確認しながら希望や訂正を加えていって、まずストレッチから始めた。






「西村さん、体験の時から思ってたけど体柔らかいっすね」



「風呂上がりにストレッチ必ずしてるんで…。



でも、ガキん時に比べたら硬くなりました」




「そんだけ脚開ければ充分ですよ」






ガキん時って…今もやん。




けど、この年代の頃って子供扱いされんの嫌よな。




「…あの、重岡さん」



「はい？」



「変な感じするから、敬語やめてもらえないですか？」



「へっ？いや、でもお客さんやし…」



「先輩に敬語使われてるみたいでやりにくくて。


もっと言えば、西村さんもやめて欲しいです」



「…まぁ、西村さんが希望するなら俺は全然ええけど。




じゃあ、部活の先輩からは何て呼ばれてんの？」



「西村拓哉なんで、普通にニシタクです」



「分かった、ニシタクな。頑張ろなー」





生意気なんかなって思ってたけど、笑った顔とかあどけないし可愛いやん。


上手くやってけるかなーなんて思った俺がアホやった。






背筋を鍛えるマシーンをしながら、こいつは顔色変えずにシレっと言った。





「あの、重岡さんて」



「何？」



「さっき話してたお姉さんの事好きなんですか？」








…おそるべしニシタク。

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