Happy Together 2

92 ページ42

言い出しにくいけど、言わないわけにはいかない。




だから大きく息を吸って、一気に言ってしまおうと思った。






なのに、





「…あのね、私…っ

「別れよっか、俺たち」






遮るみたいな、健人の優しい声。



その言葉の意味が瞬時に理解できなくて固まってしまう。






「…え？」



「別れよう、A。ごめんね、東京に戻っておいでなんて言ったくせに」



「健人…？」



「やっぱりさ、俺無理だわ。あんなの見ちゃったら、もう信じられないかも」



「あんなのって…」



「お友達なんかじゃないだろ？アイツ。




…まぁ、関係は友達かもしれないけど…気持ちはお互いあるんじゃない？」







言い返す言葉が見つからない。


私が話したかった事を、先回りして健人が話してくれてる。





だけどどこまでも自分勝手私は、溢れそうな涙を我慢するのに必死。






「…ごめんね、A。今までありがとう、ばいばい」



「健…っ」






悲しげに笑って、伝票を掴むと健人は席を立ってしまった。





何も言えない私はそのまま目で追う事しかできなくて、振り返らずに去って行く後ろ姿を見つめる事しかできなかった。






別れる時って、あっという間だ。





さっきまで涙を我慢してたのに、1人になって泣いても良いのに何故か涙は出ない。







そのままフラフラと、クリスマスイルミネーションが輝く街をあてもなく歩き続けた。

93→←91

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す