ボーダーライン III

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検索しようとしたスマホを取り上げて、画面を閉じて手渡す。





広瀬さんはキョトンとしてて、理解不能と言いた気。






「…野宿しろって事？そっちのが、危ないから」



「そんなわけ無い。うち、おいで」



「へっ！？いや、いやいやいやいや、そんな滅相も無い！！！」







両手も首もガンガン横に振って全力で拒否してくる姿は少し傷つくんやけど。







「いいから。行くで」







その手を取って、到着したエレベーターに乗り込んだ。






エントランスを出て辺りを見渡すと、元旦那の姿はもう無くてホッとする。





広瀬さんも、安堵の表情。







「着替えとかお泊りセットみたいなのも欲しいやろ？

途中にでかいドラッグストアあるから、そこ寄って帰ろう」



「……うん。ありがとう…」








おそるおそる左手を差し出してみたら、少し間が空いたけど、ギュっと握ってくれて。






綻びそうになる頬を我慢しながら、ブスっとした顔を頑張って作った。






「言うとくけどさ」



「うん？」



「まだ、怒っとるからな」



「……うん」






少し振り返ると目が合って、広瀬さんはにこって笑った。






それにつられて笑ってしまって、






あかんやん。







…でも、これも惚れた弱みやなって。







俺が好きなんやから、仕方ない。

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