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「じゃあ、大毅くんが代わりに引越ししてよ」








俺の初恋は、小5。


学校は違うけど、通ってるピアノ教室が同じやった子。







弾いてる曲が綺麗で、だけどそれ以上に弾いてる姿が可愛いって幼心に思った。








発表会で撮った集合写真に載ってる名簿で、名前だけは分かった。









「先生、俺も隣の部屋の高橋さんって子が弾いてる曲やりたい」



「横山先生のクラスの高橋さん?」



「そう。あの曲を弾けるようになりたい」







勢いで練習し始めたけど、小5の俺には難しかった。







仲良くなりたかったけど、ちょうど練習時間はすれ違いやし、自分からガンガンいけるタイプやないし、何より思春期やし。






まぁ、でもその内話すきっかけがあればええわ。






そうのんびり構えとった時、偶然彼女が使われてない部屋で1人で泣いてる所に出くわした。







「どないしたん…?」






恐る恐る声をかけてみたら、涙で真っ赤になった目を上げてこっちを見る。


まともに話すのは、こん時が初めて。






「…えっと…誰?」



「……大毅。横山先生んとこの子やろ?俺、村上先生に習っとる」



「ふーん…そうなんだ」



「なんで泣いてるん?横山先生怖いん?」



「違う。…引っ越すの、私。今日が最後のレッスンの日で、横山先生に挨拶してきた」







え、まじか。






ダメやん、今日が最後って…







「どこ引っ越すん?」



「長野」



「近いやん!」



「近くないっ!

転校しなきゃだし、横山先生の事も大好きだったのに…行きたくないもん」






また、再び彼女は泣き出した。





困り果てた、まだ幼い俺は上手い慰める言葉が思いつかない。







「大丈夫やって。すぐ友達できるし、また次のピアノ教室の先生の事も好きになれるって。


ええやん、転校なんて。俺も1度くらいしてみたいわ」








悪気なんて1ミリも無い。



泣き止んで欲しかっただけやのに、その言葉は彼女の心を抉ったらしい。







「……だったら…



じゃあ大毅くんが代わりに引越ししてよ」







涙を指で拭いながら、教室から出て行ってしまった。








これが、俺の初恋の苦い思い出。

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さくら(プロフ) - nonononさん» コメントありがとうございます^_^前作同様、楽しんで頂けるよう頑張りますのでよろしくお願いします♪只今何かが降臨中で話がどんどん浮かんでいるので、しばらくこのペースで更新できると思います! (2018年1月19日 19時) (レス) id: df93a5c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
nononon(プロフ) - ストロベリーフィズから大好きです!とっても面白いので毎日楽しみにこのサイトを開いてます。がんばってください! (2018年1月19日 10時) (レス) id: 6b0e61c133 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩果さん» コメントありがとうございます(^ ^)最後まで楽しんでいただけるお話になるよう更新頑張ります!続きもよろしくお願いします♪ (2018年1月11日 15時) (レス) id: df93a5c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
彩果(プロフ) - 重岡くん好きなので、すごい面白いです!続き気になります!!更新楽しみにしてます♪ (2018年1月11日 14時) (レス) id: f75f618622 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2018年1月10日 16時

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