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「そんな見られるとやりにくいんやけど」
重岡くんが苦笑いをしながら演奏をやめた。
その声で、ハッと我に返る。
「ごめん…なんか…」
「なんか?」
「分かんないけど…カッコよかった…ような気がしないでもない…」
「なんやそれ。素直に超カッコいいって言っとけ」
あははって笑いながら、またヘッドフォンをピアノに差し込んだ。
「…なぁ、高橋さ…もうええよ?夕飯作りにもきてくれなくて。
それも見られるかもしれんし、まためんどいやろ」
「でも、それは…
ほら、お金もらっちゃってるじゃん。材料費」
「余ってるなら、そのまま藤井さんのとこでコーヒー買うのに使ってええから」
「でも、それじゃ約束…
「シてへんて。俺ら、なんも」
遮られた言葉の意味を考える。
シてないって…あの夜の事?
「シてないの…?じゃあ、なんで脱いで…?」
「あっついってお前が自分で脱ぎ出したから、パーカーとジャージ渡したんやけど。
いつのまにかジャージも脱いどったわ」
「じゃあ、どうして重岡くんの部屋にいたの?」
「たまたま帰ってきたらマンションのエントランスで寝ようとしてたから部屋まで送ろうとしたんやけど、鍵が無いって騒いでるからめんどいしうるさいから俺ん家来ただけ」
一気に力が抜けた。
何も無かったんだ、私たち。
それなのに、一ヶ月脅されて素直に飯炊き女頑張ってたなんて…
「……酷いよ。どうしてこんなことしたの?」
「…ごめん。はじめはこんなに長くしてもらう気無かったんやけど…
一生懸命してるから、つい言いだせんくなっちゃって。
ほんま、ごめんな。でも俺は手出してないから、それだけは信じてや」
実際、何も無かった事がわかって良かった。
良かったけど、今更そう言われても気持ちがついていかない。
気づいたらポロポロ涙が溢れてた。
「ごめん……良かった、何もなくて。
重岡くんにも迷惑かけちゃってたね、ほんとごめん」
「いや。俺こそごめんやから。
これからはさ、普通に同期やけど、友達…
「無理でしょ。それは無理」
この期に及んで、普通の友達になんてなれるわけない。
元は私が泥酔してたのが悪いけど、それでも騙されてたって気持ちは消せないから。
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さくら(プロフ) - nonononさん» コメントありがとうございます^_^前作同様、楽しんで頂けるよう頑張りますのでよろしくお願いします♪只今何かが降臨中で話がどんどん浮かんでいるので、しばらくこのペースで更新できると思います! (2018年1月19日 19時) (レス) id: df93a5c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
nononon(プロフ) - ストロベリーフィズから大好きです!とっても面白いので毎日楽しみにこのサイトを開いてます。がんばってください! (2018年1月19日 10時) (レス) id: 6b0e61c133 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩果さん» コメントありがとうございます(^ ^)最後まで楽しんでいただけるお話になるよう更新頑張ります!続きもよろしくお願いします♪ (2018年1月11日 15時) (レス) id: df93a5c5c4 (このIDを非表示/違反報告)
彩果(プロフ) - 重岡くん好きなので、すごい面白いです!続き気になります!!更新楽しみにしてます♪ (2018年1月11日 14時) (レス) id: f75f618622 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2018年1月10日 16時