アンジュ・エ・デモン

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重岡くんは、普通にカッコいいとは思う。




性格に若干の難アリだけど、多分あの時の事が無ければ何の疑いもなく優しくて頼りになる同期。




本人が言うように、それなりに恋愛してきたのも当然。






「重岡くんは？どうして前の彼女と別れたの？」



「俺はー…一個下の大阪におる後輩と付き合うとったんやけど、東京に異動決まったら怒っちゃって。

ギクシャクしだして、そのまま彼女は別の男と遊ぶようになって、フラれたみたいなもんやな」



「…遠距離しようと思わなかったの？」



「俺はそのつもりやったし、離れとっても会社は同じやから多少はマシなんかなと思ってた。


でも、女の子からしたら違うらしいな。


遠くの彼氏より、近くの自分を好いてくれる男らしいで」



「そっか…辛かったんだね、最近のことなんでしょ？立ち直った？」




「おん、すっかり。異動は志願な部分大きかったし、あいつからしたら俺が裏切り者みたいな感じやったと思うわ。

相談も殆どせんと決めちゃったからな」




「あー…新システム導入で募集かかってたもんね」







裏切り者…か。




そんなつもりなくても、私が彼女の立場だったらそう思ってしまうのかも。




勝手に決めちゃって酷いって。








「サイテーやろ？」



「…うん、サイテーかも」



「やな。自覚はしとる」







悲しげに笑った重岡くん。


ほんとは、まだ未練あるんじゃないの？


だからなのか分からないけど、無意識にそっと頭を撫でた。







「泣いてないけど」



「うん…でも、泣きたそうだから」







やめろや、って笑い飛ばされるかと思ったのにそれは無くて。








俯いてたのにそっと顔を上げて、視線が重なった。









「…………いな」



「え？」



「いや。何もない」








ポツリと呟いた言葉は聞き取ることはできなかった。

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