アンジュ・エ・デモン

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重岡くんが好きになるって、どんな子だったんだろう。




毎日のように一緒にいるけど、イマイチそういうのが見えないし、今好きな子が居る気配も無い。

と、私は勝手に思ってる。






「高橋は初恋いつだった？」



「私は幼稚園だよ。お兄ちゃんみたいな先生がいてね、大好きだった」



「それ初恋やないやん。ちゃんとしたやつやって」



「んー…初めて彼氏が出来たのは、中1だったなぁ。ふふ、懐かしい」




「じゃあ、一番最近の彼氏は何で別れたん？」



「それは……よくある話だよ。同窓会に行ってね、元カノとより戻してきちゃってた。


フラれる時はあっさりなもんだよね。
一応20代半ばにもなればさ、ほんのりと将来考える事だってあるのに」








一年以上前の話だし、今は藤井さんに片思いなのに、それでもあの時の事を思い出すとジワっと泣きそうになる。


それくらいダメージ受けたんだ。


このまま、結婚できたら良いなとすら思ってた相手だったから。







「あ、ごめん…泣かんでや。ほんま、ごめん。もう聞かんから」



「ううん、ごめん。未だに心のどこかで引きずってるのかな」



「簡単には忘れられへんて。本気で好きやったなら、余計に。

次の恋で幸せになって、上書きしてけばええやん。
ちょうど候補も出来たことやし」



「うん…。って、重岡くんがそんな恋愛マスターみたいな事言ってくると思わなかった」



「俺も人並みには恋愛してきたで？」








そう言って微笑んでくれた顔がほんの一瞬……






見覚えがある？






そんなわけないね。

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