アンジュ・エ・デモン

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食べ終わった重岡くんがコンビニへ行って、ファミチキを買って帰ってきた。





「さて。念願の唐揚げ食べますか」



「今日も食べるの？唐揚げ」



「食うてへんわ昨日。今日作ってくれるっていうから我慢したったのに、菜っ葉しか出てこんなんて拷問やろ」



「ごめん……」







まさか昨日食べるの我慢したなんて。

申し訳なさすぎて、素直に謝るしかない。







「別にええよ。その代わり、もう一本付き合って」



「はーい。いただきます」







解凍した冷凍枝豆と、唐揚げとビールと重岡くん。


あれ、昨日一瞬想像した構図と同じ。







デジャブだな。

ちょっと嬉しかったのと、ほろ酔いで気持ちよくなって、ついつい本音が出てしまう。







「昨日さー…カシオレ3杯飲んだの」



「ほぉ、珍しない？ビールやめたんや」



「可愛いって思われたくてさー…

唐揚げもちょこちょこ食べて、美味しいって評判のお店なのに味しなくて」



「んなわけないやろ。つか、一口でいけや」



「できないよ、藤井さんの前でそんなの」



「俺の前ではビールがぶ飲みして唐揚げかぶりつくくせに？」



「うん……なんでかなー……」







ほんと、なんでだろ。


男として意識してないからかな？






あの夜の記憶が無いから、私にとって重岡くんは今一番気兼ねない男友達になりつつある。







「……余談やけどさ」




「ん？」




「俺の初恋の相手、高橋っていう子やった」




「そーなんだぁ…。日本に多い苗字だからね！

そう思うと、重岡って珍しいよね。




いつだったの？その初恋」




「………忘れた」




「えーー？名前覚えてて、いつか忘れるなんてありえない！普通逆でしょ？」




「しゃーないやん、忘れたんやから」







普段顔に出ないのに、ほんのり今日は顔が赤い。





重岡くんも、なかなか酔ってるな。

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