アンジュ・エ・デモン

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「おい、なんやこのメニューは。なめとんか」



「別に？健康的で良いでしょ」



「ほうれん草ばっかりやんけ。今夜こそ唐揚げやったんちゃうん？」



「昨日多分ファミチキあたり食べてるかなーと思って」







ほうれん草のお浸し、ほうれん草とベーコンの和風パスタ、ほうれん草と卵の炒め物が今夜のメニュー。





そして、最大限の私からのメッセージ。








「ウサギや無いんやけど。菜っ葉ばっかし」



「だって、重岡くん報告してくれないんだもん」



「何を？」



「藤井さんの事！！！会ったんでしょ？駅前のスーパーで。昨日聞いてびっくりした、いつ会ったの？」



「あー…いつやったかな。昨日よりは前やったけど」



「当たり前じゃん！教えてよ、ちゃんとそういうことは。
ホウ・レン・ソウでしょ、基本だよ」








重岡くんは少し考えて、小さくため息をつく。

呆れた顔してるけど、私からしたら重要事項。








「そういう意味か…。はいはい、すいませんでしたね」



「全然思ってないじゃん。




……でさ、余計な事言ってないよね…？」



「余計なって？」



「余計な、は余計な事だよ。社宅同じってくらいしか話してないよね？」



「…別に、大して話してへんし。

さ、食べよ食べよーいただきまーす」








昨日のLINEの返事がそっけなかったから少し心配してたけど、全然怒ってなさそうで安心した。








「…で、どうやったん？昨日のおデートは。上手くいったんか」



「うん♪ちょっと仲良くなれたし、藤井さんて想像してた以上にきちんとした人だった」



「へー…よかったやん。付き合えそうなん？」



「それは、まだ…これから頑張る！

でもね、頑張ればもしかしたらって思うんだよね。私の事昨日待っててくれたんだよ？いけると思う？」



「…イケるんちゃう？頑張りや」








もっと憎まれ口たたかれるかと思ったのに、普通に応援されて調子が狂う。







「ん、乾杯すんの忘れてたわ」








そう言って差し出されたビールを受け取る時少し指が触れて、やっぱり少しドキドキした。

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