アンジュ・エ・デモン

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ふじ…じゃなくて流星くんがお手洗いで席を外した時、スマホを確認。






心のどこかで気になってた、重岡くんは送ったLINE。

私はこんなに美味しい唐揚げを食べてるのに、リクエストした重岡くんには悪いことしちゃったな。







重岡くん分かった







そっけない返事が一言だけ。


怒ってるのかな？拗ねた？

でも、私だってこの一世一代の大チャンス逃したくないんだもん。






明日とびきり美味しいのを作るから、許してもらおう。








「ごめんね、トイレ混んでた」



「うん、全然。唐揚げ本当に美味しいね」



「唐揚げは男のロマンだからね」







ガブってかぶりついて良いんだけどさ



そんな事、この人の前でできるわけもなく。



……例えば横にいるのが重岡くんだったとしたら。








迷わずビールを飲みながら、枝豆つまんで、唐揚げもかぶりつくと思う。




唐揚げさんも、こんな風にちまちま食べるより、そうやって食べてくれるのを望んでると思う。








…何食べてんのかな。ファミチキとかで妥協したのかな。

それなら、明日は唐揚げより…








「Aちゃん？」



「え？あ、ごめんなさい…何でしたっけ？」



「いや、何も言ってないけど…なんかボンヤリしてたから。どうかした？」



「ううん、何でも無いです。緊張してたけど、慣れてきたからかな」



「緊張？どうして？」








今まで優しかった流星くんが、初めて見せたニヒルな笑み。



言っちゃえよ、って促されてるみたい。








「初めてご飯行く人とは…それなりに緊張します…」



「そっか、なるほどねー…


ところで気づいてる？さっきから」



「何が？」



「敬語。ちょこちょこ戻ってるから」



「あ…ほんとだ」









まだまだ、完全にタメ口で話すなんて無理だよ。


っていうのも多分分かってて言ってるんだろうけど。







「罰ゲームしなきゃね」



「うん…どんな？」



「番号教えてよ」






そう言って、流星くんは自分のスマホをひらひらと見せてきた。








ねぇ、絶対貴方は確信犯だよね








だってこんなのは罰ゲームなんかじゃない







ご褒美だもん。

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