アンジュ・エ・デモン

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きゅうりとトマトが嫌いで、キムチ鍋とラーメンが好きとか





献立作りにくいな。





渋々ながら条件をのんだからには、全うしてあの夜のことは無かった事にしてもらわなきゃ。






自分でも馬鹿だなって思ってる。

一度でも関係持った(であろう)人の部屋にこれから何度も出入りして、万が一またそういう事になっても文句言えないのに。






それなのに、何故か夕飯のためにする買い物が少し楽しかったりして。

多分人に作るのとか、元彼と別れてからしてないから新鮮なんだと思うけど。






今日は、とりあえず鍋にする事にした。

小さな鍋に一人分を作って、ある程度煮込んで下準備。






一般職私より就業時間が長い総合職の重岡くんは、当然帰ってくるのも遅い。






ご飯コールが来るのを待ってる間に、私は自分の夕飯を食べて待っていた。







ピコン♪






重岡くん帰ったで






そのLINEを見て、小鍋とお肉を持って重岡くんの部屋へ向かった。







鍵は開けておくから勝手に入ってきてと追加でメッセージが来たので、そのまま部屋へ入っていく。








「お邪魔しまーす」



「はーい。キッチン適当に使ってええよ」



「うん、ありがと」









スーツから部屋着になった重岡くんは、昨日私が返したパーカーを着ていた。

持ち主なんだから着るのは当たり前なのに、無性に恥ずかしくなって来る。









お鍋ができる前にテレビを見ながらビールをちびちび飲んでる重岡くんは、その姿だけ見れば可愛らしいし、カッコいいと思う。







but、中身は除く。








重岡くんが東京に異動で来てから3週間。



屈託無い笑顔と、真顔のギャップと、今の私から見たら外面が良いだけにしか思えないけど優しい性格。

そして極めつけは、システム課のエースってこと。

自称メカオタクの百合が一目置いてるんだから間違いない。






だから、そんな彼を女子社員が放っておくわけなくて、先輩後輩問わず人気がある。








みんな騙されてるんだから。

この地味に陰険な部分早くバレちゃえ。








ちょうど鍋も出来上がって、テレビを見ながらケタケタ笑ってる重岡くんの前にドンっと少し強めに置いた。

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