アンジュ・エ・デモン

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「ねぇ、最近どうしてお弁当作りだしたの？」







百合からの質問は、ごく真っ当。

毎日のように一緒に社食へ行って同期と固まって食べてたのに、重岡くんにお弁当を作るついでに自分の分も作るようになって、その時はデスクで食べる。







「あー…んと、節約と、ダイエット？」



「ふーん。ま、お弁当の後に毎日カフェモカ飲んでちゃ意味ない気もするけどねー。

藤井さんのとこ行くでしょ？」



「うん！行く行く♪早く行こ！」







考えてみれば、重岡くんとお弁当の中身同じなんだよね。

席が近いから、百合に気づかれるのも時間の問題なのかもしれない。

やっぱり自分の分は作るのやめようかな。








フロアを出る時、ドアに近いシステム課の横を通る。

何気なく重岡くんに視線をやると、同じ課の桐山さんと楽しそうに話しながら私の作ったお弁当を食べてくれてた。







卵焼きを最後に残してるように見えて、なかなか可愛いじゃん。








「何ニヤニヤしてるの？」


「いやいや、してないよ？」


「してたって。藤井さんに会えるの想像してニヤけてるの？キモーい」







違うもん。




お弁当食べてくれてて嬉しかっただけ。




……って、何考えてるんだか。








これじゃ、好きみたいじゃん。






ただの恐喝なのに。






それに、私が好きなのは…








「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりですか？」








あぁ、今日もかっこよくてウットリ。






そのカッコいいお姿拝見するために、毎日仕事頑張ってます。






「カフェモ……

じゃなくて。ブレンドコーヒーのSサイズください」



「かしこまりました。400円です」








チョコレートたっぷりのカフェモカも良いけど





たまには大人っぽくブレンドコーヒーにしてみた。





砂糖とミルクはつけてもらったけどね。

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