アンジュ・エ・デモン

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春の朝は、少し肌寒い。




ぬくぬく暖かくて、つるつるの肌触りの良いシーツ、何かよく分からないけど良い香りのする部屋。




まだこのままでいたいけど、きっとそろそろ起きないと仕事に遅れちゃう。






ほら、寝起きの悪い私がアラーム無しで自然と目が覚めるなんて

きっと今日は一日気持ちよく過ごせるだろう。







そう思ってその内鳴るであろうアラームを消すために、ベッド横のテーブルにあるスマホに手を伸ばした。







「……あれ、無い…？」






おおちゃくして布団にうずくまったまま、手だけ出して探したからかな。





仕方なく布団から出て、視線をテーブルに移すけど…






「……無い」








スマホが、無い








現代人としては、かなりのオオゴト。







だけど、それ以上に…








ここ、どこ…？








部屋を見渡すと、キッチンの場所も、玄関の場所も、多分壁紙も色も同じ。


それなのに、ここは私の部屋じゃ無い。








ライトグレーのカーテンも、テレビの大きさも、見渡してみると間取りが同じなだけ。







どうしよう、誰の部屋？






ていうか…








ご丁寧に畳まれてる、私が昨日着ていた洋服がソファーに置かれていて








私は一体、どなた様のパーカーを着ているんだろう。







余りまくってる袖をジッと見つめて、昨夜部署の飲み会で飲みまくった記憶がだんだん蘇ってきた。








…てことは








やらかした？

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