ストロベリー・フィズ��

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宣言通り鍵は開いていて、良いかなと思って勝手に玄関に入る。




思えば、中までお邪魔するのは相当久しぶり。

というか、クリスマス以来？




男性の一人暮らしにしては綺麗に整った玄関や廊下を通り抜けてリビングへ入った。







「お邪魔しまーーす、夜分すいませーん…」



「おかえり。遅かったやん」



「うん、片付けとかもあるしさ。こ…望くん早かったね」






まだ、下の名前で呼ぶのは慣れない。

だから今「小瀧さん」と呼びそうになった。

そして、それはバレバレでニヤっと笑う。







「えぇな、なんか初々しいわ。付き合いたてって感じや。

ちょっと飲まん？誕生日やし」






そう言いながら、缶ビールとグラスを持ってきてくれた。






いつのまにか日付も変わってて、正真正銘の誕生日当日。
晴れて22才になって、望くんよりまた年上になった。







「あんまり、年上って感じせんけどな。

初めて会った時からそう思ってた」






初めて会った日の事は、鮮明に覚えてる。



あの日からずっと、私の頭の中は貴方の事ばかり。







「あの日の俺に、半年経ったらこんな風にヘアメイクのお姉さんとなれるんやでって教えてやりたいわ」



「なにそれ。私も、あの日の自分に教えてあげたいよ。


半年経ったら、この眩しい人の彼女になれるんだよって」



「なぁ。あの日、俺が紫耀と仲良しって知ってたらどうしてた？知らんかったんやろ？」




「…うん、もしも知ってたら、多分もっともっと距離置いて接してたと思う。


なるべく紫耀とは関わらないようにしていこうって思ってたし、今もそれは変わらないし」



「へぇ。頑なやな。

…じゃあ、良かったわ。知らないでいてくれたから、俺ら付き合えるんやな」







お酒が回ってきてるからから、お互い恥ずかしいけど昔の答え合わせ。







「おせばイケると思ったのに、こんなに手強いとは思わんかったわ」



「ふふふ、私も…

正直、こんなに想ってくれるなんて夢にも思わなかったよ」







こんな風に、くっついてお酒飲みながら、それ以上の事はしないで一晩過ごせるって良いね。





明日も仕事の望くんには申し訳ないけど、ずいぶん遅くまで話し込んでしまった。








「A」



「ん？」



「お誕生日おめでとう」



「…ありがとう、すごく嬉しい」






手渡してくれた合鍵を何度も見ては、頰がほころぶのを抑えきれなかった。

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