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白雪姫。4 ページ5

静かにゆっくりと傾き始める船。
船長は船の壁に手を着き、目の前の三人を見て説明を始める。




「知っての通り、ハンター資格を取りたい奴等は星の数居る。其奴等全部を審査出来る程試験官に人的余裕もねェ。そこでオレ達みたいなのが雇われて、ハンター志望者を振るいにかけるのさ。
既にお前等以外の乗客は脱落者として審査委員会に報告している。別のルートから審査会場に行っても門前払いって訳だ。
お前等が本試験を受けられるか如何かは船長の気分次第って事だ。細心の注意を払ってオレの質問に答えな」




船長の言葉に数秒間だけ沈黙が室内を支配したが、クラピカによって沈黙は破られた。




「私はクルタ族の生き残りだ」


「!!」




クルタ族、聞いた事がない単語にAは疑問符を脳内に浮かべる。
島にある書庫全てを読んだ彼女だったが、種類はたかが知れている。クルタ族という種族は全く記憶に存在しなかった。




「四年前、私の同胞を皆殺しにした盗賊グループ。幻影旅団を捕まえる為、ハンターを志望している」




私も前世は盗賊だったな、と…真面目な話をしている中、彼女は見当違いの事を考える。




賞金首狩り(ブラックリストハント)志望か!幻影旅団はA級首だぜ、熟練のハンターでも迂闊に手を出せねェ。無駄死にする事になるぜ」


「死は全く怖くない。一番恐れるのは、この怒りがやがて風化してしまわないかという事だ」




そう言ったクラピカの瞳には、間違いなく死を恐れぬ覚悟が宿っていた。




『けど…まだダメだな』




黒の時代の義兄に似た冷たい笑みを浮かべ、深紅の瞳を細めてクラピカに視線を移す。




『人を殺す事は出来ない』




今の彼にはまだ、人を殺す事は出来ない。

それを一目で理解していた彼女は少し落胆した表情を浮かべながら、どこか期待に満ちた瞳でクラピカを見つめた。




『だけど、少し興味が湧いた』




今の彼女にある彼に対する感情は女性だったら心中したい男性ではなく、行く先を見届けたい男性へと変わったのだ。

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るなるん(プロフ) - 好きです!続きをお恵みください!、 (2022年3月14日 16時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫吹-シスイ- | 作成日時:2021年4月13日 1時

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