The Lizard man (ページ4)

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息子が生まれてから、二度目の秋がやってきた。

一歳になった子供は、食が細く、母乳もほとんど受け付けない。

これでは死んでしまうと思い無理に吸わせて、やっと命が繋げられるような状態であった。

あくまで一人暮らしを装い、息子を隠すように窓を閉め、近隣の住民と井戸端に勤しむ。

"鉄道工事で夫に先立たれた可哀想な未亡人"

これが女に与えられた称号であった。

夜泣きもない息子は全く近所に知られていない。
これでいい。これでいいのだ。

やがて息子に意識が芽生え、自我が芽生え、欲が出てきたら、施設にでも入れよう。

自分の顔を覚える前にどこかへやってしまおう。

そう考えればすぅっと心が軽くなり、女はゆっくりとハーブティーをカップに注いだ。

＊

息子の部屋は、木製のベッドと絵本が数冊、抱っこ紐と閉じられた窓のみで形成されている。

窓には内側にカーテンをかけ、万が一に備え、部屋の扉には重い木製の閂がかけられていた。

日に当たることもない牢獄でいつも過ごし、少量の母乳のみで命をやりくりする。

息子は生まれたときよりも色白に、赤子特有の綿のような柔らかさもない、本当に爬虫類のように成長していた。

もしこの子が周りにバレたら。

この子だけでなく私までもが化け物と呼ばれ、差別対象となる。

そんな生活耐えられない。

一刻も早くこの子と離れたい。

いつしかそればかり考えるようになっていた。