検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:14,823 hit

I’ve gotta see*川上 ページ7

『…いよいよだ。』
今日は2月14日…バレンタインデー。鼻息を荒くして、私は朝からカレンダーとにらめっこ。
この日を待ってた。戦場に赴く兵士のごとく、ぴっと姿勢を正して、手際よく支度をする。少しだけ背伸びして買った、ピンクのバッグに、あなたを想って作ったチョコを忍ばせて。
___

学食は、今日もたくさんの学生で賑わっている。心なしか甘い雰囲気が漂う中で、私は誰よりも野太い声を上げた。
『……え"っ?!それ本当っ?!』
「え?沙奈ちゃん、知らなかったの?」
衝撃のあまり敬語を忘れた私に構うこともなく、伊沢さんは目線をお皿に向けたまま、黙々とパスタを口に放り込む。

『いや、全っっ然知らなかったです…。私、今日のために1ヶ月前からレシピ選んで、ラッピングもネットで調べて、楽しみにしてたのに…。まさか……まさか、川上さんが…』
やるせなさと悲しさで、唇が震えだす。
『甘いものが苦手なんてー………っ!』
そう言って、堰を切ったように私は派手に椅子へと身を投げた。
そんな私を見て、さすがの伊沢さんもギョッとしながらこう呟いた、
「……川上、言わなかったんだ。かわいそうに。」
そして、私のお弁当から卵焼きを取って、パクッと食べた。
もしもし?自然に私のごはん、持ってかないでもらえますか??
そう突っ込む気力も、今の私にはなかった。

川上さんとは、互いの授業が終わった夕方に会うことになっている。
それを思い出した途端、私の頭の中で、ピコーンピコーンと薄気味悪い警報音を鳴らしながら、赤いパトランプが点灯し始めた。

初めての恋人、
初めてのバレンタイン、
そして、
初めての手作り本命チョコ。
その三種の神器が揃った暁には、もっともっとお互いの愛を確認しあう、そんな特別な日になることは間違いない…はずだった。
一番大切な、川上さんの好みを忘れるなんて、不覚にも程があるっ!

どうする、沙奈!
どうなる、沙奈!!

約束の時間まで、あと4時間ないぐらい。
『……伊沢さん、すみません、私急用を思い出しまして!』
「え!?沙奈ちゃん!?」
目の前でパスタと私のお弁当を交互につまむ伊沢さんを残して、私はその場を後にした。

・→←same*川上



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , 川上拓朗   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リン(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます!優しいお言葉、とてもうれしいです!お互い頑張りましょう(^^) (2019年2月9日 23時) (レス) id: daa87a8d66 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 私も小説書いていて、毎回更新するの大変ですが、頑張ってください! (2019年2月8日 0時) (レス) id: d1210715c9 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - 小悪魔さん» コメントありがとうございます!外しました!ご親切にありがとうございましたm(__)m (2019年2月7日 23時) (レス) id: daa87a8d66 (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔(プロフ) - オリフラ、付いてますよー!低評価の原因になりますので、早急に外すことをおすすめします! (2019年2月7日 23時) (レス) id: 1fc00c7766 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リン | 作成日時:2019年2月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。