… m o r e【Fuma.K】 (ページ5)

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何日か経ったある日、仕事が思うようにいかなくてイライラしていた。

そりゃさ、上手くいかない日だってあるじゃん。

家に帰って、いつも通り彼女の手料理を食べて…

なのに収まらないこの感情に無意識にもため息が出る。

君は心配そうに俺を見ていた。

「どうしたの？…元気ないよ」

「……や、ちょっとな」

俺の濁した言葉に納得いかないのか、まだなにかを言いたそう。

多分、これ以上聞いたらAに当たってしまう。

「ごめん、頭冷やしてくるわ」

冷静にしたつもりなのに、頭はパンパンで
上着も何も持たずひとり家を出た。

上手くいかないだけで取り乱す俺ってなんなんだろう。

せっかく心配してくれたのに…

家の近くの公園のベンチに腰掛けながらさっきのことを思い出す。

バカなことをしたなって。

今日はずっと天気が悪いけど、特別もっと悪く見える。

天気予報で聞いた雨は的中していた。

頬を伝った水が雨だと理解できるのにそう時間はかからなくて、あっという間に大降りになった。

「……だっさ、俺」

動く気になれない体が雨でどんどん濡れて冷たくなっていく。

頭を冷ますには丁度いいな…なんて。

目を閉じて静かに雨の音に耳をすましていると、途中で音が変わる。

ゆっくり目を開けると、そこには傘を俺の方にさして心配そうに見ているAの姿。

「…帰ろう？」

差し出してきた彼女の手は暖かくて、優しかった。

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