4話 ページ5
side白山
ありえない。こんなことあり得るわけない。
どうしたら良いのですか。どうか、どなたか、教えていただきたいのです。
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わたしが異性に対して初めて恋愛感情をもったのは、本当につい最近のことです。
2、3年前、親の知り合いで良い所のお嬢さんと何度かお見合いをしたことがありましたが、何とも思いませんでした。
ましてや、そこらへんにいる女性に親しみさえ持ち合わせてはいません。
それをわたしの好きな人に言うと凄く不可思議な顔をします。
わたしはそんな彼女の顔も好きです。
わたしの好きな人はとてつもなく普通人です。
容姿も何もかも普通並み。
結婚して、家事は大丈夫か少し心配です。
え？結婚するのかって？
もちろんきちんと計画をしていますよ。
彼女も、わたしが好きでしょうから。
はい？自意識過剰？
何とでも言ってください。
確か彼女に初めて会ったのは彼女の入社式の日です。
わたしが彼女の指導係として指名されたことがきっかけでした。
彼女はわたしの厳しい指導を弱音一つ吐かずに黙々とこなしていきました。
確かにスピードは遅かったし、こいつ…。と思わず思ってしまうようなところもありました。
しかし、健気に振る舞う姿を見ているといつの間にか彼女のことばかり考えるようになったのです。
それが恋だと気付いたのが最近だということです。
しかし、私には困っていることがあります。
彼女が新人の狩田と話していると何故かイライラしてしまうのです。
それから彼女に意地悪をしたくなる。
これは何でしょうか。
考えても考えても分かりません。
いつかこれも分かる日が来るのだと思います。
分かったらまた連絡致します。
ではその日まで。
白山
……………………………………………………………
「起きなさい。」
軽く肩を揺すってみる。
「…うぅぅ。」
低く唸って枕に頭を埋める彼女。
か…可愛い…。
…じゃなくて、
「神宮さん！！」
大きな声を耳元で発すると眉を顰めて薄っすらと彼女が目を覚ました。
それから寝ぼけ眼のままで呟くように言った。
『え…あれ…。白山…か…ちょう？』
かすれ気味の声にまたゾクリとしたが、今はそれどころではない。
「おはようございます。神宮さん。」
努めて平静を装って言うと、瞬間、彼女は私の上半身を見て、目を大きく見開いた。
既成事実が作れたようです。
・
続く (更新停止中)
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作者名：clown | 作成日時：2017年4月19日 20時
