俺様、何様、登坂様 (ページ8)

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風邪ページ8

【ごめん、早退しちゃった】

昨日から喉が痛くてやばいな、と思っていたら本当に風邪をひいてしまい仕事を早退。

直人が心配そうに見送ってくれた。

立つのも精一杯でタクシー使って帰宅、すぐにシャワーを浴びてベッドにもぐる。

毛布から香る臣の匂いに安心する。

【寝てろ。すぐ帰る】

臣からきたメールを見て目を閉じた。

久しぶりにしんどい。頭も痛い。臣に会いたい。

･･･どれだけ眠っていたのか、さっきまで明るかった外は夜みたいに真っ暗になっている。

ゆっくりと立ち上がって明かりの差す方に歩くと、カチャカチャとキッチンから音が聞こえた。

｢おみ、？｣

｢起きたか、座ってて。もう出来たから｣

お言葉に甘えて、ふらふらした足元で席につく。

いい香りが近づいてきて目を開けると臣特製たまご粥がお鍋にたっぷりと入っていた。

｢うわぁ、美味しそう！ありがとう臣｣

｢いいえ、先に食べて。俺も今から自分の作るから｣

なんとなく、先に仕事から帰った方がご飯を作るって決まりになっていた私たち。

先に帰ってきていたのに、何も出来なかったことに少しだけ、へこむ。

仕事から疲れて帰ってきたはずなのに、先に私にお粥を作ってくれる優しさが身に染みた。

はやく元気にならなくちゃ。

｢美味しい、ありがとう｣

｢当たり前～。見て、俺のご飯２分で出来た。お前のご飯は煮込むのに30分もかかったのに｣

見て、と言うけど臣のご飯もなかなか美味しそう。

白ご飯の上にシラスと温泉玉子の黄身が乗っている。香り付けにごま油を垂らしたのかすごくいい匂いがした。
そして、昨日の残り物のサラダと鮭の切り身もついている。

｢健康ご飯だね｣

｢味噌汁はさすがにめんどくさかった｣

いただきます、と言ってお互いご飯を食べた。

元気になったら、とびっきり美味しい味噌汁を毎日作ってあげよう。

そう、テレビを見ている臣の横顔に誓った。