俺様、何様、登坂様 (ページ5)

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酔いもまわってきた頃、岩ちゃんが「シャワー浴びたい」と言ったのをきっかけにゾロゾロとシャワーを浴びに行った。

岩ちゃんが先に、後を追うように隆二がシャワールームへ。

健二郎は寝ている。

岩ちゃんと隆二のはしゃぐ声が部屋にいても聞こえた。

「ごめんな」

気づいたら二人きり。テレビに視線を向けたまま臣が口を開く。

「急におしかけて。あいつらがお前に会わせろってうるさくて」

「ううん、私も楽しかったし」

「岩ちゃんに鼻の下伸ばしてたもんな」

「伸ばしてないもん」

ぷう、とふくれた私の頬を臣はつまんで空気を抜いた。

「ぶさいくすぎ」

「うるひゃい」

頬をつかんだ手をそのままぐいっと臣のほうに引き寄せられる。

臣によって突き出された私の唇が、臣のと重なった。

驚いたのも束の間、頬が解放されたかと思うと臣の手はゆっくりと
頭を支える位置に動き、舌が深く侵入する。

「…っふ、あ」

満足したのか唇を離され、呼吸を整える。

アルコールのにおいが口の中を占領した。

「その顔、ほかの奴に見せたら絶対許さねー」

臣が私の頭をくしゃっと撫でて、シャワールームに向かった。

心臓飛び出そう。

ゆるむ口元を両手で押さえて私は固まる。

「独占力ハンパやないなー、臣ちゃん」

更に心臓が飛び出る思いをした。

「ごめんなー見てたわけやないねん。そっちが勝手にはじめたから」

のそり、とさっきまで寝ていたはずの健二郎が起き上がる。

見られていたと思うと途端に顔が赤くなったのがわかった。

「ふつうに見てたら綺麗なお姉さんやのに、そんなかわええ顔もするんや」

さっきまで酔っぱらって変なことをしていた健二郎が、急に真剣な顔をする。
こんな顔もするんだ、と思った。

「かわええ顔したり、あーんなえろい顔したり。臣ちゃんええなー」

「やめて、はずかし」

｢俺にも見せてや、Aのえっろい顔｣

にっこりと笑顔を作る健二郎にすこし恐怖心を覚えた。どうしたらいいのかわからず固まっていると、

｢何ぽかんとしてんねん。冗談に決まってるやろ？臣ちゃんの彼女に手出すなんて怖くてできへんわ｣

｢け、健二郎ひどい！からかった！｣

｢Aおもろいわ～、でもええなぁ。俺も彼女ほしいわ。誰かいい人おらへん？｣

｢健二郎ひどい人だから教えない｣

ぷうっとさっきみたいに頬を膨らませて、怒った素振りをするAが可愛くて、ほんまにもらったろかと思ってしまった。