俺様、何様、登坂様 (ページ17)

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敵わないページ17

「今、俺が付き合ってんのは誰？」

「わたし？」

「なんで疑問形なんだよ。そう、俺が選んだのはAってこと。わかる？」

「…わかり、ません」

「は？」

「ちゃんと言ってくれないと、わかりません」

「はいはい、」

車を道路脇に停めて、臣が私を見据える。

あれ、もしかして私ここで降ろされる？やっぱりめんどくさい女だった？

不安が襲う。

ハザードランプの音だけが二人の間のリズムをつくった。

「ごめ、」

涙がいっぱいになった。

気付いたら、謝ろうとしていた口は臣に塞がれていた。

「んんっ」

いつもより深い深いくちづけに腰がとろけてしまいそう。

息をしようと離れても、臣は離そうとしない。

捕まえられた獲物みたいに私はただ臣に食べられた。

―――やっとで、離された身体はすでにぐったり。

息する間もなく侵入してくる臣の舌に遊ばれ、悔しくも完敗。

「わかった？」

こくんと頷くしかなかった。

楽しそうに私の顔を覗く。ずるい人。

「大体さ、俺が選んだ女なんだから。もっと自信持てば」

もう、敵わない。

悔しいくらい、私は臣に堕ちているのだと思った。

ひとつひとつの言葉に頬を緩める自分がいる。

つい先ほどまでのもやもやの原因がなんだったのかも忘れてしまった。

あーあ、私って単純。

これが惚れた弱みってやつでしょうか、神様。