俺様、何様、登坂様 (ページ1)

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王子様じゃないページ1

久しぶりの休日、カーテンの隙間から差し込む光に起こされた。

お昼くらいまで寝ようと意気込んでベットインしたはずなのに、
いつもと同じ時間に起きてしまうのは何故だろう。

しばらく携帯をいじって、そろそろ起きようと身体を起こした。

「ん～」

私のお腹の上に乗せられた腕をどかすと、迷惑そうに顔を歪めたのは隣で眠っていた彼氏。

登坂広臣。

「臣～ジャマ。腕どかして」

「やだ」

「あたしもう起きるから」

無理やり絡まった腕を引きはがして、ベットから脱出。

臣は眉間に皺を寄せて布団に潜っていった。子供みたいに。

やれやれ、と思いながら顔を洗って洗濯機を回して、メイクしながらテレビ見て、
洗濯物を干そうとベランダに出ると気持ちいいくらいの快晴に気分は高まる。

臣が起きたらどこかに出掛けよう。

髪も巻き終わり、準備は万端。

臣を起こしにベットに向かうと、そこには眠れる森の美女？と、
思ってしまうほどの端正な顔立ちをした、王子様。

整えられた眉に、高い鼻、閉じているとわかる長い睫。

まさにイケメン。悔しいけど、周りの女の子が騒ぐのもわかる。

「おーみ」

起こそうと隣に潜り込み顔を覗いた。
すぐに眉間に皺が寄る。

「ねぇ、もう13時だよ。天気もいいしお出かけしよ」

「……」

「せっかくのお休みもったいないじゃん」

「ん～～～」

いっそう眉間の皺を強めて、迷惑そうに身体を伸ばす臣。あ、起きた。

「もう、お前朝からうるさい」

ぱちっと目が開いて、起き上がってくれるのかと思いきや、
すごい力で引っ張られ臣に抱き寄せられた。

気付けば目の前は臣の胸板。

「やだ、せっかくメイクしたのに！」

身体を離そうと動いても、まったくビクともしない。

「ねぇ！離してばか臣！」

痺れを切らして、臣を下から見上げた瞬間、
ばっちり目が合ったかと思うとすぐにその顔は近づいてきて唇を奪われた。

「…っ」

「顔真っ赤」

ニヤニヤしながら、まじまじと私の顔を見て次は優しく抱きしめた。

悔しいけど、心臓がうるさい。

「腹減った…」

「私もずっとお腹すいてる」

「何食べたい？」

「お寿司！」

「言うと思った、却下」

「却下されると思った。じゃあラーメン」

「昨日食ったし、却下。ピザ食べにいこ」

いつもこう。
私のお願いは聞いておいて却下、結局自分で決めてしまうワガママ王子様。

「早く起きろ、ぶす」

寝癖をつけて起き上がった臣が一言。

前言撤回、全然王子様じゃない。